log 2007. July.

フェムトセカンド

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下に降りるほど古くなります。

■2007/7/31 火曜日

メモ

読んだ本***
7/1 「Rain Man」ペンギンリーダース
7/13 「Gone with the Wind: Part 1」ペンギンリーダース

観た映画・行った展示会***
7/1 アンリカルティエ・ブレッソン展
7/9 青山二郎展

■2007/7/31 火曜日

サマープログラム8日目

昨日の朝、ホテルから理研まで走った。全ての経路を走りきるほどの体力はないが、それなりに速いスピードで走り続けときどき歩いた。あんな風に走るなんていつ以来だろう?連日のレクチャーで短期的には疲弊しているが、数ヶ月のオーダーでみると、フィジカルな強さが向上しつつあるのを再認識できた。高校を卒業して浪人生をしていた頃の18歳、19歳あたりが自分の体力がもっとも高かった時期だと思う。あの頃の移動手段は主に電車と自転車と走りと歩きだった。歩いているとむらっと走り出したくなる瞬間があって、塾から駅に移動するときなどむやみやたらと走っていて、最寄り駅ではなく数駅先まで移動した。でも気付いたらそういう衝動は湧かなくなっていた。時間に遅れていても「急がなくちゃ」とは思っても走り出しはしなかった。それが今日、「遅刻だ!」という焦燥が自分を走り出させた。身体の状態が当時の状況に戻ってきているように思う。

連日の授業も2週目に突入し、週末も東京観光などしていたので、いい加減疲労が蓄積している。昨日はそれで、誰かと話をする気力もなく、あまり積極的に話しかけなかった。そしたら誰も話しかけてこないことに気付いた。この非対称性ってなんなんだろう。誰もオレに興味ないってことか。東京観光の時は、けっこう英語ができるようになったように感じたが、昨日の授業はあまり聞き取れなかったし、遂に質問してみたのだが、しどろもどろの英語で聞きたいことがきちんと聞けなかった。だけど、ときどき自分でもびっくりするぐらい流暢に英語が話せて、クリアに相手の言っていることがわかる瞬間があった。ほんとうに時々だけれど。それも日常的な会話においてで、科学的な議論の時は全然ダメだ。

授業は前半が、Klaus-Peter Lesch先生でマウスからヒトまで幅広くやっている。遺伝的素因の違いとビヘイビアの違いをEEGやfMRIなどを使った研究があって、それはすごく参考になった。セロトニン輸送体遺伝子がショート型かロング型かで、分けて測定すると有意差がでる。そのアプローチは有りだと思う。午後はZhigang He先生で脊髄におけるAxonのregenerationの話。正直あまりわからなかった。まあともかく爬虫類までは神経新生が起こるのに、それ以上の動物では起こらないのはどうしてか?神経新生はAxonのガイダンスを含めどのように制御されているのか?そこらへんに問題意識があるのはわかった。

正の感情も負の感情も大量の情報と共に大きな濁流となって耳と目を通過してゆく。今日で7月は終わりで、残すところサマープログラムも今日を含めてあと4日である。そして今日は自分のポスター発表。「やりたくねー。どっかに隠れていようか?」、と思いつつ、逃げてどうすんだよとも思う。どうなるかしら。

■2007/7/30 月曜日

サマープログラム7日目

昨日は「原宿・明治神宮→渋谷→浅草→船で川下り→お台場→レインボーブリッヂを歩いて渡る→新宿・都庁→居酒屋」という長い一日だった。

明治神宮は来るのはたぶん2回目かな。森が鬱そうとしている中を歩くのはいい。
浅草では天丼をたべ。エビのしっぽはみんな食べたがらなかった。

お台場。お台場っていかにもなデートスポットは嫌いなんだけど、フジテレビのすぐ近くの場所から見える景色はとてもよかった。こぢんまりしたビーチもあって、ピクニックに来たくなるような場所だった。
そのあと新宿に移動して都庁に昇る。都庁に昇るのも2回目かな。このころはもう夜で、空腹だし歩き疲れていたのもあって、東京の夜景を見てもいまさらという感じだった。新宿の居酒屋でたくさん飲み食いする。居酒屋というのは日本の独特の文化で、みんな居酒屋での飲み食いの仕方をわかってない。なのでオレがイニシアティブをとっていろいろ注文した。みんなには出てくる食べ物全てが目新しいものなので楽しんでもらえた模様。

帰りの電車の中。一番左に座ってるのがインド人のデニーで、いい表情が撮れた。

途中から英語で話すことが難しいとか大変とかそういうことがどうでもよくなった。わかるときはわかるし、わかんないときはわからん。伝わるときは伝わるし伝わらないときは伝わらん。誰が悪いわけでもなく、でもどっちかっていうとオレの言ってることがわからないあるいはオレにわからせることができないあんたが悪い!という開き直りな気分になった。そして、もう英語圏に行くのは少しも怖くないなと思った。

さて、今日から2週目開始。土曜日、日曜日とさんざん遊んでレフレッシュしたので、勉強する気がもりもり湧いてくるよー。

■2007/7/29 日曜日

サマープログラム六日目

眠い。眠すぎるー。がんばって起床。

昨日は「皇居→湯島天神→不忍池公園→隅田川花火→浅草寺」という順で観光した。全部で4人で行動したので楽だった。全員非ネイティブ。三人の出身はパキスタン、ポーランド、シンガポールでうち二人はアメリカに留学中。彼らはネイティブのように話す。

外国人は年齢がわからなくて、27歳くらいだろうなと思っていたら実は二歳年下の22歳だったり、逆に押さなく見えたからまだ20歳の学部生かな?とか思ったら26歳だったり。

火曜日からずーっと英語を聞いてしゃっべっているので、いい加減、脳がパンク状態である。相手が言っていることを聞き取るにはかなり集中する必要があって、ぼんやりしていると完全に取り逃がす。だけど、もう注意を向ける気力が切れかかっていて、「これ以上コミュニケーションしたくねー」と何度も思ったが、なんとか乗り切った。

日本のことを説明するといままで考えなかった類のことを考える。それでいろいろ日本について考えを巡らせると、日本て捨てたもんじゃないんだなと思えてくる。捨てたもんじゃないというか、日本の持っている文化の豊かさはめちゃめちゃ高いんじゃないかと思えてくる。

日本食はとても評判がいい。ポーランド人の女の子は特に日本食がすきみたいだ。花火を見る前にご飯を食べようと言ってオレが「この近くにおいしい中華のお店があるんだけど、どう?」といったらそのこが「ノーゥ」と言って「わたしは日本食がすごくすきなの。日本食が食べたいの」と言った。ほんとにその中華はおいしいんだよ!と説明してもダメだったので結局和食に。感じのいいお店を見つけられたから結果的には良かった。みんなほんとうにおいしそうに食べてくれるので、それがとてもうれしい。和食ってすごいんだな、と思った。

皇居には城がなかった。不忍池には睡蓮がごろごろ咲いていてキレイだった。花火もそれほど人混みに揉まれることもなく、そこそこいい位置で見物することが出来た。みんな子供みたいにみていた。浅草寺には夜店がでていて、たこやきを食べさせてみた。彼らはかき氷が食べたいといった。

歩き疲れたけれど、充実した土曜日だった。今日は金曜日。毎晩あちこち出歩いていい加減疲れ気味だが、今日はこれから大勢で東京観光ツアーに行く。お台場とか行くって。いってきます。

■2007/7/28 土曜日

サマープログラム四日目五日目

四日目午前は川人先生の授業。川人先生の話は少し前に東大の神経科学入門という授業で聞いたものと同じだった。その時は1時間半の授業で今回は3時間の授業だから、その時よくわからなかったことも、今回はよくわかった。

お昼は時間があったので理研の外に食べに行った。どこに行くのかと思ったら「とんでん」だった。最初は「えー、とんでんかよー」と思ったのだけど、入って注文して食べてみると思ったほど悪くなかった。周りの人の評判は上々で、それなりにおいしい和食を食べてもらえたので良かったなと思った。茶碗蒸しって何だ、そばを食べるときはノイジーな音を出すんだろ?ちらしずしってなんだ?日本人は薬指の第一関節にくぼみがあるんじゃないか?だから箸をうまくつかえるんだろう?なかなか楽しいランチだった。

午後の授業はベイズ推計や情報量計算の話だったが、ぜんっぜんわけがわからなかった。これまでの授業の中で理解度ワースト。

午後の授業の後は再びラボツアー。御子柴先生の研究室に行った。ツアーはそこそこにビアパーティがはじまってしまったのであまり研究の話は聞けず。ビアパーティでは久々にサマープログラム参加者以外の人と日本語をたくさんしゃべった。

その後、ホテルのロビーに9時に再集合して六本木に行くという。20人の外国人を相手に六本木まで電車を乗りついで行くのは結構疲れた。オレを含めた5人ぐらいは終電で帰ってきたが、残りの人たちは朝までクラブで遊んで、そのあと始発で築地市場を見に行ったらしい。なんであいつらはあんなに元気なんだ!遺伝子の違いを実感したかんじ。彼らは強力な代謝系を持っているからに違いない。彼らはオレの3倍ぐらい人生を楽しんでいるような気がする。

今日は午前中の授業だけで、午後はなし。午前中の授業は網膜から皮質への軸索の投射がどうガイダンスされるかというもの。何故ある軸索はオプティックカイズムで交差し、あるものは交差しないでイプシラテラルに投射するのか。

今日はこのあと何人かで池袋や皇居に行く予定。そのあと隅田川の花火に行くって。楽しみ。

■2007/7/26 木曜日

サマープログラム3日目

3日目終了。ホテルで放心。どはー疲れたねむいー。今日はどこかにくりだす元気はなく、このあとサクッと寝ます。

昨日の午後、何のレクチャーがあったか思い出して、Josh Sanes先生。シナプス形成の特異性の話だった。同種類の複数のニューロンを何種類もの色に染め分けるという技術は面白いと思ったし、今の顕微鏡の技術ってすごいんだなーと思った。あんなにキレイにニューロンの立体構造がみれるなんてと思った。前半は発生の話をやってくれて勉強になった。

今日は午前中が発生のレクチャー。Dennis O'leary先生。如何にして大脳皮質の領野は分化するかという話。卵割によって細胞が分裂し、何種類もの化学物質の濃度勾配とそれに呼応する遺伝子発現制御の動的変化によって、形態発生は進むのだけど、さらに同じようなことが脳の構造的分化でも起こっていて、それを知ることができたのがひとつの発見だった。領野が分化するのはてっきり外的な入力によるのだと思っていたのだけど、実は領野のサイズはあらかじめ遺伝子によって規定されているのだった。午後はBMIの話。John Donoghue先生。BMIの歴史的な流れを説明してくれて、そういう流れがあるのかーと説得力のあるものだった。

発生の話とBMIの話は再び興味が湧いてきた。1年ぐらいどっかで発生の研究をするのはいいかもしれないと思う。BMIはそれを自由意志の問題と絡めて何かできないかと思う。BMIといっても、結局はEEGで、その意味ではLIbetの実験からそんなに遠いわけではないが、なんかその二つを絡めて議論すると面白いのじゃないかと思う。

レクチャーを聞いているうちに、再び脳科学の研究に関する意欲が湧いてきた。ここんところ数ヶ月ぐらい、研究意欲が停滞気味だった。「結局何をすればいいんだ?」「何ができるんだ?」「何がおもしろいんだ?」という苛立ちと、疲弊があったのだと思う。だけど、「何かおもしろいことができそうだ!」という予感が湧いて来つつある。昔のそれと違うところが、もう少し具体的に「何か」がイメージできるということだ。研究に対しての思考力にキレが戻ってきた。(戻ってきたといえるほど昔はあったのか?)

英語が、聞く分に関してはなんかあと一捻りすると1レベル上がるような予感がする。いままでは、聞き取れない部分は「*!#$%&*」という風にしか聞こえず、まったく訳のわからない”音”にしか感じられなかったのだけど、近頃は「adsglksjonmelkjdcf」という感じでアルファベットには聞こえるようになってきた。「*!#$%&*」だと、聞いた音を再生することすらできないが、「adsglksjonmelkjdcf」だと意味はわからなくてもなんとか再生はできる。あと一押しで、単語として聞こえるようになるんじゃなかろうかという気がする。もちろん、単語として聞こえたところで知らない単語だったり、あるいは別の単語として聞こえてしまったりして意味がわからないままではあると思うのだけど、それでもなんか劇的な変化なように思う。砂嵐にしか見えなかったテレビ画面がものすごーく画質の粗い白黒テレビになるような感じだろうか。はやくカラーテレビのような端的さで英語をわかりたい。研究意欲と共に英語勉強欲も再燃してきている。英語勉強欲は去年の暮れぐらいに冷めてしまって、それからぜんぜん振るわなかった。が、今はもう英語をサラサラと話し、聞き、理解できるようになりたくてたまらない。他の日本の人が流暢に英語で話しているのを見ると凹む。自分の英語が如何に乱暴で汚いかがわかる。文の作り方がひどくぎこちないのがわかる。まだレクチャー中に質問をしていない。なかなかその勇気がでない。自分がしたい質問は果たしていい質問なのか?周りに迷惑をかけるような質問じゃないか?すでに先生が言った事じゃないのか?という恐れと、よしんばそうじゃなかったとしても、あるいはその恐れを振り払い強引に質問するとしても、果たして今度は質問を相手に理解してもらえるだろうかという恐れがでてくる。とんちんかんな質問をすること以上に、とんちんかんな英語で相手に何度も聞き返させたり、こっちが何度も何度も言い直したりして無為に時間が経ってしまったらどうしよう?という不安がよぎり、結局手を挙げることができない。そんなことつべこべいわないで、周りの人もそんな風に迷惑に思ったりしないから、積極的に行け!と、自分でも思うのだけど、なかなか難しい。せめてこのサマープログラムが終わるまでに一度は質問したいと思う。一度質問すればきっと二度目三度目は全然楽になるはずだ。

■2007/7/26 木曜日

携帯から

日記書くひまないんだけど、それでも走書き。大量に入ってきたものが跡形もなく流れていってしまうのは嫌だから。

午前、くすみ先生の話。3月に大阪であったシステム神経生物学スプリングスクールと同じ話。昼、八人ぐらいで一緒にご飯を食べる。やっとまともに会話することができた。チキンカツにラー油かけたり、ご飯にソースかけたりしてて、おかしかった。午後、何の話だったか忘れた。その後、ラボツアー。3つの研究室訪問。ウィスコンシンカードソーティングテストを猿でやってシングルセル記録のところでいろいろ話す。基底核のこと、統合失調症とパーキンソンのこと、話せてよかった。BMIやってるポーランドの先生のラボもかなりエキサイティングだった。その後、ビアパーティー。たくさん話す。田中ケイジ先生とも話す。茂木さんの理研時代の話が聞けた!その後、10人ぐらいで池袋に繰り出す。オーダーを取りまとめるのが大変!和光に戻ってきてもまだ飲むし!完全燃焼した感じ。

■2007/7/25 水曜日

サマープログラム2日目

今日は朝のレクチャーに遅刻したけど、周りの人たちといっぱいコミュニケーションできた。ランチもラボツアーもビアーパーティも良く喋ったし、その後一部の有志で池袋に繰り出して居酒屋で飲んだ。和光に戻ってきてからもさらに飲んだ。昼のポスターセッションで話したインドの人からメールが来ていて、その返事を書いていたらこんな時間(AM 2:20)になった。書きたいことはいっぱいあるけど、明日もあるので、おやすみなさい。面白くなってきたぜえ。

■2007/7/24 火曜日

サマープログラム1日目

サマープログラム1日目終了。疲れてないと思いつつ、なんかもう眠い(まだ22時)。午前と午後に3時間ずつレクチャーがある。もちろん全部英語。午前中は甘利先生と田中啓治先生。甘利先生のInformation geometryの話は本家本元の先生から聞くと迫力があって面白かった。田中先生の話も、以前聞いたときよりも大分研究が進んだみたいだし、話がとてもうまいのでよくわかった。意外に英語が聞き取れた。午後はTerrence W Deacon先生。脳の発生・進化の話。脳の大きさと進化の関係とか、遺伝子発現パターンの話、最後に岡ノ谷先生の鳥の歌の話。この先生の話はあまり理解できず。なんとなーくならわかるし、問題意識やアプローチの仕方もわかる気がするんだけど細かいロジックや手法などはわからん。やはり英語の壁。けど、去年のSfNで英語の講演を聴きながらその英語のわからなさに、自分の頭を殴りたくなるような苛立ちを感じたりはしなかった。大学院生になって、研究者としての能力は身についた気がしないが、英語の能力は少し向上したかもと思った。

夜はレセプションパーティがあって、立食形式で飲み食い。周りの人と交流を深めるチャンスなのに、全然だめだった。休憩時間とか昼食の時間とかから、なんとか人とコミュニケートしようと心の中では躍起になっているのだが、悲しいほど何もできない。日本人の方とは何人かとお話させていただいたし、海外の方ともほんの少しだけだけど話したが、全然上滑りな会話しかしていなくて自分の思ったようなコミュニケーションはできていない。くっそーオレってばこんなにシャイだったっけと思ったが、そもそもオレは子供の時からシャイなのである。端から見れば自分はけっこう社交的な人間に見えるかも知れないが、社交的に振る舞っているときの自分は内心アップアップしているのである。そう、水面を泳ぐ白鳥が実は水面下では足をばたつかせているように。ものすごーくいろいろ考えて気を遣って神経をすり減らしてはいるが、普段からそういう人間なのだという風に平静を装っているだけである。

今回もそうやってがんばればいいじゃん、ということなのだが、なんだか今回はそれができない。他の人がどう思っているかはわからないけど、オレは結構聞き上手なほうで、幅広い話題に対応できる自信がある。脳科学は本当に広い分野から成り立っているわけで、理論の人がいれば、分子生物学やっている人もいるし、電気生理やっている人もいるし、サルやマウスを扱っている人もいるし、医学系や薬学系の人もいるし、認知科学や心理学やっている人もいる。そのどの話題にもついて行ける自信はあって、話を聞くだけならいろいろと質問をしながら相手から話題を引き出して会話を続けることができる。脳科学に限らず日常においてもそういう風に会話をする。ので、オレは自分のことを話すのがとても苦手。なんだか今回はそうやって相手にたくさん質問して一方的に情報を引き出すだけではいけない気がして、その方法でひとと話をするのは気が引ける。相手と会話をしながら自分の研究のことも話していかないとフェアではない気がする。そしてそれができない。自分には語れるモノが何もないように思う。よしんばあったとしても、それを語ろうとすると英語がついていかないと思う。

それでも、会話をする必然性があればなんとか話せると思うんだけど、いかんせん誰とも会話しなくてもレクチャーを聞く分には問題ない。が、それでは寂しすぎる!ひとりだと寂しいという意味ではなくて、せっかくの機会を無駄にしているという意味で寂しすぎる!というわけで明日はもっとがんばってみます。うへえー

■2007/7/23 月曜日

和光からコンニチハ

和光に着きました。てっきり理研に一度行くのだと思って行ったら全然誰もいなくて、今日はホテルにチェックインするだけの日だった模様。今日から約二週間この和光駅前東横インが我が住処なり。着いて早々、仕事の件で電話があり、対応に追われる。振込やメール書きなどあれこれやることが尽きない。

ホテルには理研からレターが届いていて、
This year, we have 36 lecture course students and 21 interns for Summer program 2007. We are honored to have such excellent students from all over world. Indeed, Only one out of five applicants was successful in this year's selection. Thank you attendance and I hope you enjoy the two week lecture course and will make full use of this opportunity for future research!!
だそうだ。明日からうまくやっていけるだろうか、オレ。楽しみなような、怖いような・・・。

昨日はベーコンとニンニクの芽炒めを作ったのだった。最近まめに自炊している。ご飯を炊いて味噌汁を作るという作業はほとんど労せずできるようになったので、おかずを作るのが苦にならない。

まな板を置くスペースがないので台所の縁にそれを不安定ながらのっけて食材を切り、一台の電気コンロと一台のカセットコンロをうまく使い分けて煮炊きし、洗濯機の上もモノを置くスペースとして活用しながら料理するというスタイルにも慣れてきた。調味料がそこそこ揃ってきたのも料理しやすくなった要因のひとつ。最初はスティックシュガーとめんつゆしかなかった。いまは塩もこしょもみりんも酢も油もハーブソルトもある。

たまねぎがとても重宝する食材だということが最近わかってきた。みじん切りにしてキャラメル色になるまで炒めるとびっくりするほど甘くなり、複雑な旨みがでてくる。皮をむくとただ白くて丸いだけなのに、なぜにあんなに複雑な味に変化するのか不思議だ。生でサラダにして食べようとしたら水に晒す時間が短かったせいか辛くて食べられなくて、それでニンニクと一緒に炒めてサラダに絡めてちょっとドレッシングを垂らして食べてみたらおいしかった。今日の「ニンニクの芽とベーコン炒め」にも投入して、塩と胡椒しか加えていないけれどそれ以上に複雑な味になったのはたまねぎ君のお陰かと。

ホテルの近くにはイトーヨーカドーがある。あとで買い出しに行こう。食費を節約するのだ。

■2007/7/21 土曜日

洋風おじやの朝ご飯

昨日、すっごい久々にゼミに出た。気がする。けど、一週間あいただけか。恩蔵さんが創造性の話、田辺さんがPTSD患者に対してアドレナリンブロッカー(propranol)を投与すると情動反応が変化する論文の話、張さんが知覚できないほど高頻度でflickeringする視覚刺激をみたときに視覚野のうちVOというmedial occipital visual areaのみが意識表象との相関を示す論文の話。

普段のゼミだと人数が多くて机のある席に座れずにはずれた場所にイスだけで座ることになるのだけど、今回のゼミは参加人数がすこし少なめで、机に座ることができた。なので、久々にゼミを真面目にやる気が起きて、いろいろ発言してみた。机に座れるだけでずいぶん話を聞くときの集中力が違うし、議論に対する積極性が増すので驚いた。

基本的に僕は人と近い距離に居るのが嫌いなので、席が余っていてもそこに人が密集していると感じていると「遠くでもいいや」という考えになってしまう。なのでゼミはいつも机から離れたイスだけの場所に座ることになる。そして決まって「自分がこっちに座った方が周りの人に迷惑かけなくていいに違いない。オレがみんなの輪の中にいるよりも他の人が輪の中にいる方が実りのある議論になるはずだ。」という卑屈めいた言い訳を自分自身にする。そんな風に自分を納得させるのだが、能率の違いを実感するとやはり輪の中に入った方がいいのかなと思ってしまう。だけど、無理矢理輪の中に入れば誰かがはみだしてしまうだけであり、誰がはみ出してもきっと自分は罪悪感を感じてしまうのでそうはしないだろう。きっとオレと同じくいつも輪の外のイスに座る石川も同じことを考えているのだと思う。

まあそれはともかく昨日は久々にやる気が出て、よく発言したわけだが、オレが発言するとだいたい苦笑のような反応が起こる。「まあ野澤君は修士二年でまだまだこれからだから」的な苦笑。それがすごくくやしかった。

田辺さんの紹介した論文が個人的に面白かった。emotional stateとか情動反応とかの関連を思い浮かべると面白いと思うのだけど。僕は勝手にあの論文をExplicit memoryの想起によって起こるemotional responseがアドレナリンブロッカー投与の結果、変化したのだと解釈した。つまりCS-USのUSが変化したのだと思う。おそらくあのようなemotional responseの変化で情動反応から脳にフィードバックが起こると、以前よりも和らいだ感情になるのではないだろうか。そしてそれは治癒に役に立つのではあるまいか。

今日の朝ご飯はご飯とみそ汁が余ったのでおじや。しかも洋風おじや。どういうことかというと、カマンベールチーズをおじやの中に落としてみた。洋風おじやというよりはリゾットの方が近いかも知れない。チーズがつくるご飯のネットリ感が良い感じでした。

■2007/7/20 金曜日

めんたー

なんか最近、やたら寒いんだよな。長袖来てないと腕が冷えてしょうがない。何故、何故?もう7月下旬なのに気温低い日が続くしなあ。

理研のサマープログラムでメンターになってくれる人からメールがきた。メンターというのは付添人みたいなもので、おそらく期間中アドバイザー的な役をやってくれるのだと思う。ドイツから来た方で今は理研で計算論的脳科学をやっているPh.D student(博士課程の学生)さんだった。早速お返事を書かねば。

というかそろそろ家を出てゼミに行かなきゃ。

■2007/7/18 水曜日

実家を後にする

午後、某センサー会社Kの営業の方をお迎えして商談。バーコードリーダーとそれに接続するプリンタを購入予定だが、それにともない端末に載せるアプリケーションをどうするか、プリンタに出力するソースコードをどうやって書くか、そしてテキストファイルで取得したデータを会社のパソコンでどうやって扱っていくかについていろいろ話し合う。3パターンの購入方法の提案があってあとはもうすこし詰めて考えれば決まりそう。営業の人は「できるだけ高いものを買わせよう」というガメツイ感じが全然無くて、うちの会社にとって本当に最適なものを買ってもらおうという誠意が感じられて気持ちがよかった。

それで5日に及んだ実家滞在の意義も果たし、実家を後にする。夜は鯵の煮付けを食べた。やっと菊名に戻っても来週の月曜日からは今度は埼玉県和光市に10日間滞在する予定。理研のサマープログラムに参加するためである。所属が東工大のすずかけ台キャンパスだと申請したら、遠いのでホテルを手配しましたとの知らせを受け取り、通いではなくホテル住まいになった。しかし10日間も滞在するとなると服はどうしようか。新たに送られてきた参加者名簿を見ると、以前送られてきた参加者名簿と少し変わっていた。以前送られてきた名簿にはオレしか日本人はいなかったのだが、改めて送られてきた方にはオレの他に6人ぐらい日本人が増えていた。サマープログラムではおそらくずっと英語でやりとりがなされてると思うので、今の英語力をもう少しマシにしてから行きたいと思っていたが、結局何もせずにそれを迎えそうである。ASSCから帰ってきて半月以上経つが何も出来なかった。

ポスターの修正も気がかりである。なんとか新しい解釈をできないか。あの時系列データをランダムジェネレーターとして評価できないか?履歴の影響を評価するにしても前回のストライクゾーンに対する影響ではなく、ヒットタイムの時系列データのみから評価できないか?きっと新しい解析方法を考える必要があるのだと思う。例のハエの自由意志の論文が参考になると思うのだが、あの論文は難しくて読めない。論文の大枠は理解できるのだけど、あれと同じ解析をしようとすると途端にわからなくなる。

食生活に気を遣うようになってそろそろ二ヶ月ぐらい経つだろうか?Physicalな強さが戻ってきていると思う。今思うと学部の頃からかなり不摂生な生活をしていたと思う。それで脆くなっていた体が1年間の一人暮らしでより一層加速したように思う。そういう体の変化に気付いたのが数ヶ月前でそれからいろいろと気遣うようにしている。そのようなことの成果がそろそろ出てきているのかも知れない。うん。Physicalな強さが戻ってきている。まだまだ完全にではないけれど。肌のつやも良くなって、ニキビが出来なくなった。眠りも深くなった。相変わらず朝起きるのは遅いし辛いし、寝付きも悪いけれども、それも前ほどひどくない。起きた後に寝たりない感じが和らいでいるし、深く眠れたことを実感できでいる。

思い描くなりたい自分の姿は荒野を縦横無尽にめまぐるしく駆け回っている姿。確かにそんな風に生きていた時期もあったように思う。もう一度その自分に重なりたいと心から思う。

■2007/7/18 水曜日

実験データ再考

理研のサマープログラムの期間中にポスター発表が義務づけられているのでそのポスター作りに取り組む。が、何も進まず。ASSCのポスターを修正して作っていこうと思っているんだけど、今それを見返すと見事に何も言ってないことがよくわかる。これを人前で発表したんだと思うと、今更ながら恥ずかしくなる。時間がないので結局このまま貼ることになるかもしれない。

それでもう一度、一から考え直してみることにした。Tさんに言われた「EEGを測定するにしても何を測定するのかを明確にしないと」という言葉を思い出して。やはり小手先だけの統計検定とかそういうのに頼りいすぎている気がするので、もういちど何を知りたかったのか?ということを考える。

それをしばらくやった後はバーコードリーダー関連の仕事をしたら日が暮れた。会社で作業をしていたのだが、やはり会社はいろいろなことがやりずらい。プリンターはあってもインクジェットで印刷は遅いしネットワークプリンターではないからデータを移し替えたりケーブルを差し替えたりして対応しなくてはならないし、LAN環境も中途半端なのでファイル共有がうまくいかない。近くにコンビニがないので腹が減っても買い物に行くこともできない。だけど、ひとつだけいい点があって、周囲の半分ぐらいが田んぼに囲まれていること。いろいろ考えて煮詰まって、その田んぼのあぜ道をぶらぶらと歩いたら気持ちが良かった。あおあおとした稲がぶわーっと一面に育っている。風が吹いて草の上撫でていく景色は見ていて気持ちがよい。

■2007/7/16 月曜日

実家でしか過ごせない休日

朝、まだ目が覚めなくて布団の中でボーッとしてたら家が揺れはじめた。半分眠った頭で、けっこう大きい地震であることを自覚していた。もしかしたらこのままとんでもない強さの地震になるかもしれない、という危機感を頭の片隅(気分的には左頭頂後葉あたり)で覚えながら、傍目から見たらひたすらぬぼーっとしていた。妹が「しんちゃん地震だよ!」と声を掛けてきたが、やはり「んー・・・」とぬぼっーと返事をするのみだった。きっと妹は「この人は逃げ遅れて怪我をするに違いない」と思ったに違いないが、オレはきちんと状況を把握していて、ほんとうにやばくなったら飛び起きて一分の無駄もなく危機回避行動を起こす算段を立てていたのだった。

理研のサマープログラムで7月29日はこっちに来られなさそうなので、車で市役所に期日前投票にいった。帰ってきたら庭で親父と近所のおばちゃん二人が茶を飲んでいた。ザ・ご近所茶飲み会。日本から消えつつある風景のひとつだろう。親父はビールケースをひっくり返して座っていた。オレは転がっていた一斗缶の上に転がっていた板を置いてそれに座って茶飲み会に参加した。これを平和と呼ばずして何をか呼ぼう(反語)。

夜は会社で購入予定のバーコードリーダーに載せるアプリケーション作りをした。前回これを作ったのは3年とかそれぐらい前で、その時は今より圧倒的にプログラミングの知識が無く、アプリケーション作りは難航した。ところが、今やってみるとかなりすらすらできる。我ながら進歩したんだなーということを実感。

オレが研究のテーマにしている「自発性」について、前から薄々感じていたけれど今回学会に言ってはっきりとわかったことがある。オレが知りたい「自発性」と今実験で見ている「自発性」は別のもののようだ。今実験で見ている「自発性」は「自発性」というよりは「随意運動の非自明な発生」というような表現の方が近い。学会のアブストを書くときにオレが「spontaneous movements」と書いても茂木さんには大抵「voluntary movements」と書き直されてしまうのが解せなかったのだが、ようやくわかった。やはりオレの知りたい「自発性」はうつ病や統合失調症の陰性症状などのapathyとかavolitionとかの方が近い。

自発性について考えていこうと決めたときから「自発性」というのは異質で容易には分けられない複数の概念からなる言葉で、まずはそれによって表象されている概念群をきちんと切り分けなければならないというのは思っていた。4つぐらいに分けられるという気がしていたのだが、まだその4つにわけるcriteriaはわからない。が、ともかく二つにはわけられそう。

そうそう、これ、札幌から帰ってくる飛行機の中(7/13)で読み終わった。ペンギンリーダースの「Gone with the Wind: Part 1(風と共に去りぬ 前編)」。こないだ読んだ「Rain Man」よりレベルが1だけ高いだけなのに、読むスピードが半分ぐらいになってしまう。それはともかく、このお話、結構面白い。ジェットコースターのようにいろいろ事件が起こるので、はらはらしながら読める。さながら昼メロドラマとか韓流ドラマのような派手なドラマ性がある。

■2007/7/15 日曜日

帰ってきても休めなくて

学会三日目は二人の先生とお話が出来た。ひとりは二日目のミトコンドリア機能障害のセッションで座長だったK先生。K先生は去年の理研のチュートリアルのMental Disorderの回で講義を聴いたし、神経科学会か統合脳かSfNでもお見かけした記憶があり、また、今回の学会中も自分が聞いている講演をK先生もいることが多く、勝手に親近感が感じていた。「統合失調症が低血糖でも似た症状が起こることと、ミトコンドリアの障害は関係があるでしょうか?」と質問したところ、「低血糖で統合失調症の症状が起こるというのは信じがたく、意識障害は起こってもそういうことは起きないでしょう」とおっしゃられ、「低血糖とミトコンドリア機能障害は関係なく、いまのところわからないけれど、ミトコンドリア機能障害が細胞死や細胞の機能障害が起こり、その結果双極性障害が起こるのでしょう」という答えが返ってきた。低血糖が統合失調症様の症状を引きおこすというのをピシャリと否定されてしまったのはショックだったが、逆にそれはそれでスッキリした。自分が考えていることは否定されてしまったけど、精神疾患に関してこれほど手応えのある会話ができたことはいままでなかったので、自分にハッパをかけて話しかけて良かったと思った。ほんの少しの会話に過ぎなかったけれ、それでもすごくしっかりとした手応えがあった。大脳基底核ループと統合失調症に関して自分が持っている自分のアイディアは弱気になってしまって言えなかったので、次にお会いしたときに聞いてみたいと思う。

お会いした二人目の先生はH先生だった。去年の夏にやはり札幌であった統合脳シンポジウムのポスターセッションでかなり長い間話をしてくださった先生だ。その時の別れ際に薬理に関する勉強会をやっているのでよかったら来てくださいと言ってくださったのでこっちのメールアドレスを教えたのだが連絡は来ず。てっきり忘れられてしまったのだと思っていたが、今回ポスター会場でお目かけして声を掛けさせていただいたら覚えていてくださった。ちょっと立ち話をしてその後の研究経過などをお聞きした。名刺をいただき、帰ってきてからその名刺に書いてあったメールアドレスにメールを出したらきちんと返事をいただけた。よかった。8月の終わりに統合失調症に関する勉強会がありそれに呼んでくださるとのこと。

ポスターセッションではまたいくつかのポスターの前で話を聞いた。うつ病患者のfMRIの話とNIRSの話。NIRSは皮膚電気抵抗や反応時間、視線の動きなどのような部類の測定なのだなという印象をうけた。EEG・MEGやfMRIとはちょっとレベルが違う、そんな印象を受けた。

午後のセッションは何度見てもプログラムに興味のでそうな演題がなく、それでも我慢して適当に聞いていたけど結局飽きてしまって途中で退散した。それまではfMRIなどの脳画像化や遺伝子・分子生物学的解析の話が多かったが、その時のセッションはまさに「薬理学」という感じの演題が多かった。

学会会場を後にして、大通公園駅に出た。とくにあてもなく。駅の中にあった地図を頼りに二条市場に行った。二条市場には魚屋さんが20軒ぐらい密集している。そのうちの一軒で食堂もやっている店にはいった。ウニいくら丼(3000円)を食べた。おいしかった。とても。

ウニが甘く、いくらからは膜がはじけると旨みがしたたり出てくる。おいしかったので勢いで家族へのお土産にその店のウニといくらを買ってしまった。学会中は学会会場とホテルの往復でほとんどお金をつかわなかったのでフンパツしてしまった。

その後、ボーイスカウトの先輩で札幌に勤務している先輩に会いに行った。先輩はデパートの中のある洋服屋さんに勤めていて、勤務中にもかかわらず押しかけてみた。お互いの近況などを(先輩は仕事中なのに)話して、せっかくだからズボンとシャツをみつくろってもらって買ってしまった。

帰りの飛行機は札幌から羽田まで飛ぶ最後の便で、羽田に着いたら夜の11時を過ぎていた。この日は実家に帰ったのだが終電があるかはらはらしながら帰った。平日だったので何とか帰ることができた。帰ったらもう深夜の二時ぐらいだったので両親は当然寝ていて、妹だけ起きていた。鮮度が落ちる前においしいうちに食べて欲しいと、妹にはちょっとだけお土産のウニといくらを食べさせた。それでその日は泥のように眠った。

次の日、すなわち土曜日はボーイスカウトの夏季キャンプの下見に行く日だった。朝7時に集合だったのだが、朝七時に先輩からの電話で目が覚める。結局30分他の方々に待っていただいてしまった。すみません。完全に寝ぼけまなこで群馬の花見が原キャンプ場に連れて行かれる。片道3時間。行きも帰りもかなり寝た。雨の中、カッパを着て野営地の確認を行い、当日の買い出しに使うスーパーなどを見て回る。頭が回らず、あまり役に立てなかった。夕方6時頃帰ってきて、ご飯を食べたらバタンキューで寝た。何故にあんなに眠かったのかはわからない。学会の疲れもあるだろうし、車に長時間揺られて疲れたというのもあるだろう。(おそらく脳の前庭という場所を酷使したはずだ。)

そして今日はまた朝から夏のキャンプに向けた会議。朝8時半にはじまって、終わったのは14時だった。リーダー側に立ってボーイスカウトの活動をするようになってからもう大分経つ。毎年、今年こそは今年こそはと思いながらスカウトを育てようとするが、本当に難しい。少しずつでも良くなっていたらいいが、あまりそのような実感はない。なんだか毎年毎年活動が苦しくなる一方な気がする。何とかしたいという気持ちが募るばかりだ。

会議後、今度は親と電気屋に買い物に行く。ハードディスクの容量が足りないから買い足してくれとのこと。買ってから会社に行って接続作業をしたり、その他不満を言われていた点を改善する。そうして日曜日が過ぎていくー。

水曜日に仕事で人と会う用があるので、それまでは実家の方にいるつもりである。なかなか研究がすすまない。来週の月曜日には理研のサマープログラムに行ってしまう。それが10日間あって、それから夏のキャンプがある。そのあとまた北海道に研究会に行くかも知れない。11月のSfNではオーラル(口頭)での発表が決まっているのでなんとしてもそれまでに結果を出したい。EEGを測定する話は一度Tさんとブレストをしたが、何を測定をするかが明確ではないということで頓挫している。どうやったら前に進めるんだろう。

■2007/7/13 金曜日

学会三日目

昨日のランチョンセミナーのお弁当はまあまあだった。二種類のうちから選べて、昨日と同じようなパッケージのやつと丼ものみたいなパッケージのやつ。迷わず丼ものの方を選択。かに、うに、いくらの三色弁当だった。オレの推察するに、1日目の弁当を食べた偉い人が「なんだこの弁当はまずすぎる!」ということで急遽別の弁当が発注されたのだと思う。

午前中のポスターで何人かの人と話をする。NIRSが気になる。ニルスとかエヌアイアールエスとか読む。前頭葉のoxy, deoxyヘモグロビンの血流量変化をEEGよりも簡便にもちろん非侵襲で測定できる。fMRIのようなものだが時間分解能が高く、リアルタイムに血流量変化を測定できる。

統合失調症の話は、遺伝子の話や、タンパク質の動態や前頭葉を中心にした話ばっかりでオレの気になる大脳基底核との関わりは一日目二日目を通してほとんどない。だけど、収穫はあってひとつはミトコンドリア障害の話がどうもそれと関係がありそうだということ。RikenのK先生が司会を務めるセッションでミトコンドリアの異常と神経変性疾患、それに双極性障害との関係を議論されていて、いままでミトコンドリアのことなんか全然見向きもしなかったけど、俄然興味が湧いてきた。それから覚醒剤の中毒と統合失調症の関係に関するセッションでは覚醒剤にsensitizationする過程にVTAから側坐核へドーパミン投射が関わっていることを学んだ。黒質から線条体への投射ではなくVTAから側坐核。側坐核は線条体の一部。ドーパミン。基底核ループとどう関わってくるだろうと考えるのは面白い。

学会の会場で毎週木曜日の授業でお世話になっていたM先生にお会いした。5分ぐらい立ち話をさせていただいた。札幌に来て初めて誰かと会話したかも。先生いわく、学会の参加者数が少なくて驚いたとのこと。確かにどの会場も空席が多く、弁当も余りまくっている。どうやら臨床系の人は臨床系のもう一つの学会へ流れ、それ以外の人は神経科学会のようなでっかい学会の方に流れていってしまったためらしい。なるほど。確かに、口演やポスターの内容は神経科学会やSfNでも普通に見られる内容のものばかりである。だけど、教育セミナーやランチョンセミナーはやはり神経疾患系の学会ならではな感じだし、そういう意味では来た甲斐があったように思う。

会場の片隅で書籍の販売があって、「精神薬理学 エッセンシャルズ」という本がよさそうだった。が、他の本を物色してる内に全て売り切れになってしまった。ガッデム。amazonで探したが、見つからなかった。
<追記:07/12/16>アマゾンにありました。Amazon:精神薬理学エセンシャルズ。それとカンデル読んでるに本の紹介を書きました。

では学会三日目、最終日、行ってきます。遅刻気味。

■2007/7/12 木曜日

札幌二日目

地下鉄東札幌駅にある札幌コンベンションセンターというところでその学会は開かれている。東札幌にはなんにもなくて、地下鉄でちょっと出れば札幌の繁華街にすぐでられるんだけど、札幌は初めてではないし、そんなに観光したい気分でもなかったので、昨日は近くのスーパーでお惣菜を買って夕飯にして、さっさと寝てしまった。

昨日ためになった話は人の脳の深部にある大脳基底核に電極を差し込んで常時刺激することで運動疾患を治療するというDBS(Deep Brain Stimulus?)という手術の話と睡眠の話が面白かった。DBSの話はすでに知っていたのだけど、いままで知っていたのよりかなりバリエーションが増えていて、手術例も10倍ぐらいになっておりもうほとんど確立した手術方式になっていた。さらに、DBSは精神疾患の治療にも応用されている例がほんの少しだけどあるらしい。現在の精神疾患治療はカウンセリングのような心理療法と薬剤による薬物療法しかないが、いずれDBSによる外科手術という療法があらわれるかもしれない。精神疾患を外科手術で治す。それは画期的なことではないかと思う。睡眠の話はプロスタグランジンD2という物質が自然な睡眠を誘発する物質であり、ヒスタミン系が覚醒の役割をして睡眠と覚醒の調整をしているという話が睡眠について理解するのによかった。プロスタグランジンを受容するアデノシンA2Aというレセプターがあって、アデノシンの受容器だからカフェインにも反応するという経験的事実とも合致する。

こっちは結構寒いです。今日の最高気温は18度とのこと。長袖のシャツしか持ってこなかったのでジャケットがほしい感じ。この学会は医学色が濃い学会なので、予想通りスーツの人が多い。9割以上の人がスーツ姿だ。それを見越して最初はオレもスーツで来ようと思ったのだけど、いかんせん昨日の朝、時間がなかったのと、東京にいるときはスーツなんか着たら暑くて汗かいてやってられない!という感じだったので、黒いズボンにシャツというフォーマルな服としては ギリギリアウトだけどそれほどスーツの中に入っても目立たない程度の服で着てしまった。まあ、ビーチサンダルに半ズボンとTシャツというカッコよりはマシかと。

この学会は日本語で行われるので、言語の問題で言ってることがわからないということがない。日本語だと気楽に聞けてよい。もしかしたら、脳科学関連で日本語でやりとりされる学会って今回が初めてかもしれない。なのでなんだか新鮮な感じだ。去年の夏に行った日本神経科学会は日本の学会なのにすべて英語で行われるし、もう一つの統合脳のシンポジウムの方も英語だった気がする。やはり日本の組織なのに。あと行った学会ってSfNとASSCでどちらも国際学会。

お昼の12:00-13:00にランチョンセミナーというのがある。ランチョンというのはおそらく「lunch on」のことだと思う。ランチョンセミナーはご飯を食べる時間も有効に使いましょうという感じで、お弁当が配られて、それを食べながらお話を聞くというもの。参加費に6000円払ったので、その元を取る意味でもこのお弁当には期待していたのだが、あまりおいしくなかった。去年の日本神経科学会で食べた弁当はとてもおいしかったのに!

これから学会2日目に行ってきます。

■2007/7/11 水曜日

札幌へ行ってきます

今、朝の5時。6時半の飛行機で札幌に行ってきます。単身で精神医学に関する学会に乗り込んできます。二泊三日の予定です。

茂木さんにはブログでこんなことを書かれた。

ゼミ。 野澤真一が、大脳基底核、視床、皮質のループについて、サーベイをした結果を報告し、「こんな研究をしたい」と「青年の主張」をする。野澤クンの目指している方向は正しいと思います。しかし、いろいろな困難があると思うので、そこは一つぜひがんばってくださいね。応援するゾ。

どうしようもない無力感。未熟なのは重々承知のつもりだけど、それでも「わかってもらえない」という気持ちがぬぐえない。「青年の主張」なんて書かれてしまっては返す言葉もない。

■2007/7/6 金曜日

Aphasia on diary

実家からホットプレートが届いた。が、これをいったいどーつかえというのだー!ホットプレートを置いて調理する場所がない。

日記が書けない。まるで失語症にでもなったように。新たな文体を模索しているのだと思う。文体は内容を規定する。それはデザインと中身の関係と同じだ。

日記には何を書いてもいい。朝ご飯のこと、電車に乗ってとりとめもなく思ったこと、喫茶店で隣に座っている高校生が話していたこと、梅雨空のこと、来月の予定、いまがいかに忙しいか熱弁すること、将来の不安のこと、日記が書けない自分のことを日記として書くこと。だけど文体は膨大にある「書くこと」の中から何を書くかを制限している。そして、制限された題材を「どう書くか」に対してもやはり影響を与え、それは「何を書くか」よりもはるかに強い。

人は文体に規定された方法でしか文章は書けない。内部に無数にある「書くこと」は文体によって外部に出力される。その際に内部にはあったのに外部に出てくると消えてしまうものがある。それは単射ではないが全射ではある写像である。 

万能の文体は存在しない。あらゆることを表現できる文体は存在しない。それでも僕はあらゆることを表現することを希求してやまない。意識的にではなく無意識的に、表現できないことが存在することに気付いたのだと思う。それで日記における失語症になったのだと思う。文体は複雑なシステムであり、局所的な補修では本質的な変革は起こらないし、一貫性を失う恐れがある。一貫性を失った文体の表現能力はゼロだ。偽の命題から出発した論理のようなものだ。文体の変革には一度全てを解体し、全てを再点検し、0から再構築しなければならない。その間、人は失語症になるのだと思う。

■2007/7/4 水曜日

メモ

アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌という展覧会を見に行った。(7/1)

ペンギンリーダースの「Rain Man」を読んだ。Level 3 :Pre-Intermediate (1200words)であっさりさっくり読めた。このレベルならサクサク読めるのだなと確認。Rain Manは自閉症のひとを題材にした物語だけど、自閉症についてそれなりに知っているから読む助けになったのかも知れない。床に散らばった楊枝の数を瞬時に数えたり、電話帳一冊をすべて暗記する驚異的な記憶力があったり、無表情だったり、いつもと同じ方法で物事が進まないと途端にパニックに陥ったり、自閉症らしいエピソードがきちんと描かれていた。最後に主人公とその自閉症の兄が心を通わす、ようなストーリーになっていたが、果たしてそんな風になるのかはわからない。

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