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公開停止について
「Principles of Neural Science」の発行元である米国のThe McGraw-Hill Companies(マグロウ・ヒル)の日本国内の独占代理店である日本ユニ・エージェンシーより連絡をいただき、権利者であるマグロウ・ヒルと正式に契約せずに翻訳、公共の場で公開することは、著作権侵害にあたるため速やかに削除して欲しい旨の連絡がありました。(2010/8/30) 著作権侵害は当方の意図するところではないため、先方の要請にしたがって、記事削除の処置を行いました。
「Principles of Neural Science」は神経科学の知見について膨大で正確な情報を提供してくれる、学術的に非常に優れた書物であり、その内容を広く一般の神経科学に興味がある人に知ってもらいたいと思っていたので残念です。
2010/8/31 野澤真一
カンデルとは
神経科学の標準的な教科書で原題は「Principles of Neural Science(神経科学の原理)」と言います。
現在は第四版まで出ています。編者はエリック・カンデル氏であり、そのため"カンデル"と呼ばれています。
邦訳は出ていません。
英語版Wikipediaのカンデルの頁
カンデルの目次
第五版が2007/10/15に出るようです(Amazonの情報によると)。
それまでに全ての章の翻訳を公開するのが目標です。
(もちろんきっと無理です。)
[NEWS]
驚くべきことに第五版の出版がまた延期された模様。 発売時期は2009/1/18だそうです。(2007/9/13のアマゾン情報)この調子だと永遠に出ないんじゃないか、fifth edition。
追記:5th発売はさらに延期に 5thは2010年3月まではでない!
更新情報
2010年8月31日 18:49--50章 情動状態と感情
2009年4月23日 14:48--33章 運動の構成
2009年4月23日 14:43--42章 小脳
2008年12月26日 16:01--60章: 3節 2小節 1-3
2008年12月26日 13:27--5thは2010年3月まではでない!
2008年12月26日 12:28--60章: 3節 6-7
2008年11月 5日 18:21--60章: 3節 3-5段落
2008年7月19日 00:16--60章: 3節のあとBox60-1
2008年7月19日 00:05--60章: 3節 1-2段落
2008年7月16日 21:14--60章 2節後半
全訳済みの章
- Chapter 19: Integration of Sensory and Motor Function: 感覚と運動機能の統合
- Chapter 33: Organization of Movement: 運動の構成
- Chapter 36: Spinal Reflex: 脊髄反射
- Chapter 43: The Basal Ganglia: 基底核
- Chapter 50: Emotional State and Feelings: 情動状態と感情Latest!
書きかけの章
- [08.06.12] Chapter 03: Genes and Behavior: 遺伝子と行動
- [08.06.27] Chapter 04: The Cytology of Neurons: ニューロンの細胞学
- [07.05.12] Chapter 10: Overview of Synaptic Transmission: シナプス伝達の概観
- [07.12.12] Chapter 15: Neurotransimitter: 神経伝達物質
- [07.10.22] Chapter 23: Touch: 触覚
- [09.04.23] Chapter 42: Celleberum: 小脳
- [08.05.09] Chapter 46: Seizures and Epilepcy: 発作とてんかん
- [07.10.24] Chapter 60: Disorders of Thought and Volition: Schizophrenia: 思考と意志の障害: 統合失調症
- [08.06.27] Chapter 61: Disorders of Mood: Depression, Mania, and Anxiety Disorders: 気分障害: 鬱、躁、不安障害
脳に関する雑記
以下、私の調べたこと・ぼんやりと思っていることなどのメモです。
- -ergic/作動性とは
- modality/モダリティーについて
- ganglion - ganglia, nucleus - nuclei /単数-複数
- 領域の名前、たくさんの軸
- 海馬と海馬体
- うつ病に関する私見
今後、さらなるカンデルの翻訳、脳科学に関するコンテンツを増やしていくつもりです。
このサイトの筆者について
大学院にて脳・認知科学を学んでいる野澤真一といいます。
このページや翻訳に関するコメント・ご指摘・ご質問などございましたら答えられる範囲でお答えいたします。
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リンク
システム神経科学の授業のページ
私が2006年度後期に受講していたカンデルを輪読する授業のシラバスです。
ここに運動のパートの33章から43章までの全訳が掲載されています。
脳に関するトピック
私が尊敬してやまない先輩・澤繁実氏のページで、01, 02, 07, 13, 17, 24, 32, 45, 60 章の翻訳が掲載されています。
CNS Forum: Image BankNEW!
このページには脳に関するイラストが豊富です。
その他に読んでいる本
カンデルばっかり読んでるわけじゃございません。別の輪講や研究会で読んでいるやつとか独りで勝手に読んでるやつとか。
Neuroscience: Exploring the Brain
著者:Mark F. Bear, Barry W. Connors, Michael A. Paradiso
カンデルより薄くて、しかも内容も平易です。カンデルを基準にすると情報量が少なくて物足りない感じですが、
カンデルの半分の値段だし、一応、カンデル的に分子生物学から行動までカバーしているので
なまもの系の神経科学や臨床系の神経科学をやらない人にとってはこのぐらいのレベルでもいいのではないだろうか。
これは日本語訳が出ているのでそっちを買ってダーッと目を通すと(1ページ3秒ぐらい)
一通り頭に入っていいかもしれない。
しかし原書を持っている身としては日本語訳まで買うのは気が引ける・・・。
The Hippocampus Book
著者:Per Andersen, Richard Morris, David Amaral, Tim Bliss, John O'Keefe
カンデルと同じぐらいのサイズです。そしてこれ一冊、まるまる海馬の本。びっくりですね。海馬って奥が深いんですね。
いま、これを輪講しています。これを読んでいると「脳に関するトピックス:海馬と海馬体」に書いたことが、
いろいろ間違っていることに気付きます。
時間ができたら修正したいと思います。
Cognitive Neuroscience: The Biology of the Mind
著者:Michael S. Gazzaniga, Richard B. Ivry, G. R. Mangun
分離脳実験で有名なガザニガが著者の1人の本です。その名の通り認知神経科学。
私自身が独自に読んだ章はひとつかふたつだけです。
分子生物学の話はなく、全て認知科学よりの話です。(うる覚え)
認知神経科学をやるならカンデルよりこっちを読むべきじゃない?とか思います。
カンデルよりも認知科学寄りの話が豊富です。
ひとつの章が50ページぐらいあって、長い。
そして英語がカンデル的な平易・無味乾燥なものとはちょっと違います。
読みづらいというほどではないですが、ネイティブ的な英語だと思います。(あくまで私の印象で)
Biological Psychology: An Introduction To Behavioral And Cognitive Neuroscience
著者:Mark R. Rosenzweig, S. Marc Breedlove, Neil V. Watson
生物学的心理学、と訳すのは適切だろうか。上のガザニガの本やExploring the Brainと似たような感じです。
やはりカンデルに比べればやはり情報量はすくないですが、入門書としてやる気を感じます。
CD-ROMがついていてPC上で学習ができたり。アニメーションがあったり。
そういう仕掛けはExploring the Brainの方にもあるけど。
個人的にはExploring the Brainよりはこっちの方がすきです。
精神薬理学エセンシャルズ―神経科学的基礎と応用
著者:Stephen M. Stahl, 仙波 純一 (翻訳)
この本、おすすめです!神経薬理学、神経精神医学の事がよくわかります!神経精神薬理学はとかく、薬の名前の洪水で、
神経伝達物質に対する影響も様々で、シナプスにおけるタンパク質な複雑なダイナミクスも把握するのが難しい。
そんな中、見事にちょっとシュールな図でいろいろと説明してくれます。
これを読むと精神疾患における精神状態(心の状態)が、自律神経系などの作用による情動反応(体の反応)と同じく
脳内の物質の不全によって引きおこされることもよくわかります。
また、アンタゴニストやインガースアゴニストなど薬理学では常識の概念や、
神経回路網の形成・発達において何が正常で何が正常でないか?(正常という用語はただしくないが)
ということに関する一般的な概念もやはり図を豊富に使って説明していて、このような説明は現在の脳科学において非常に珍しい!
この本は脳と心の問題に哲学的、心理物理、計算論的にアプローチしようとするものにとっても十分に読むに値する内容になっている。
製作:野澤真一(メールを送る)
since 2007/2/4
http://melonsode.fem.jp/kandelyondel/