log 2007. November.

フェムトセカンド

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下に降りるほど古くなります。

■2007/11/99 曜日

メモ

読んだ本***
11/21 「日本沈没 下巻」小松左京
11/30 「人体の不思議」吉岡郁夫

観た映画***
11/09 「武士の一分」@飛行機(大韓航空)
11/11 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」@渋谷アミュ−ズCQN
11/18 「いのちの食べかた」@渋谷シアター・イメージフォーラム

行った美術館***
11/05 Museum of Contemporary Art San Diego (MCASD)
11/08 Museum of Contemporary Art (MOCA) in Los Angels本館と別館(村上隆展)
11/08 Bradbury Building at 304 South Broadway, Los Angeles, California

■2007/11/30 金曜日

人体の不思議

11/30 「人体の不思議」吉岡郁夫

1986年の出版ですでに20年以上前の本である。確かに、二十年前らしい文体で、内容も20年前らしい感じがした。ホルモンに関するところが少し勉強になった。

メモ:
下垂体は前葉を含む腺性下垂体と後葉を含む神経性下垂体に分けられる
前葉からは甲状腺(thyroid)刺激ホルモン、副腎皮質(adrenal cortex)刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、乳腺刺激ホルモン、成長ホルモンが分泌される
下垂体のホルモンは視床下部によって調整されている
視床下部ホルモンは視床部の神経細胞で分泌され、毛細血管の中に入り、血液を介して、下垂体前葉の分泌細胞に作用する
神経性下垂体は視床下部の一部が下方に突きだしたもの
バソプレシンとオキシトシンは視床下部の神経細胞から分泌され、神経繊維の中を通って、後葉まで下降し、そこから血中に入る
バソプレシンは腎臓の尿細管に作用して、尿を濃縮する働きがある
オキシトシンは陣痛の時に働き、子宮を収縮させる

やはり、古い感じは否めない。オキシトシンは最近だとドーパミンとの関係や愛情や安心感といった感情との関係が議論されている。バソプレシンもストレスとの関係などがうろ覚えだが議論されていたと思う。これが20年という歳月の重みなのだろう。だけれども、驚いたのが参考文献に伊藤正男さんや久保田競さんの名前があることだ。お年を召しているが今でも現役の脳科学者のお二人である。20年も前にすでに本を書いておられるのか!とお二人のキャリアの長さを痛感した。

「人体の不思議」と入力してAmazonで検索したら山のように本が出てきたので驚いた。見ていると食指が動く本が多い。人体のことは脳科学をやっていく上でも、もっと勉強したいなー。

■2007/11/29 木曜日

逆算

今回は、謙虚に、奢らず、周到に、綿密に、誠実に、真摯に。そう自分に言い聞かせて、修論発表会をゴールに据える。修論発表会は2月中旬という気持ちでいたが、1月の晦日(つごもり)ということに自分の中で設定し直した。そして修論の提出は1月の15日ということにした(自分の中で)。そうして時間を逆算して粛々とそれに備え、準備する。

12月のスケジュールを眺めると、第四週に忘年会が3つも入っていた。その他いろいろあり、実質的に修論に充てられる時間は半月程度だろうと予想される。さらにそこに雑用が入るからな。雑用は手間が関わる割に、うまく出来て当たり前で、ちょっとミスると角が立つ。自分で望んではじめたんだからそれでも続けるけどね。ほんと変わんない。いや、変わってはいるのか。

最近、金持ちと貧乏人のメンタリティの差、みたいなことを思う。金持ちというか、育ちの良さという言い方の方がいいか。育ちがいい人は、なんていうか、絶望感の扱いがうまい。無駄に絶望しないし、卑屈にならないし、感傷的にならない。そして現実的に対処していこうとする「意志」が静かに、しかし豊かに漲っている。端的に言えばポジティブということ。それも過剰な感じやある種の獰猛さ・貪欲さがなくて、「静か」なのだ。

いろんなものをまき散らしすぎる。絶望感や劣等感をまわりに投げつけて、その反動で前に進んでいるようなところがある。それって端から見ていると醜かったり痛々しかったりするのね。と、ようやくそんな視点を獲得した。ブラックマジックはホワイトマジックに。そういうことでしょ。まだ出来ないけどね。

■2007/11/26 月曜日

Review: June to November

土日を利用して新幹線で北陸に行ってきた。土曜日は富山の発電所美術館に行き、内藤礼さんの「母型」展をみて、それから金沢に普通電車で移動して、一泊。日曜日は金沢21世紀美術館を訪れ、そこに4時間ぐらいいて、それから香林坊のあたりと武家屋敷がある東山のあたりを軽く歩いた。土曜日の夜はお寿司をいただき、日曜の昼は大衆割烹のようなお店で 金沢の食の豊かさを堪能した。

じき、11月も終わり、2007年最後の月になる。今年は本当に旅行の多い1年だった。3月は神経生物学スプリングスクールというのに参加し、新幹線で大阪に行って、帰りは青春18切符を使って電車で紀伊半島を一周し、さらに東海道線を乗り継いで帰ってきたのだった。また、茂木研のゼミ合宿も3月にあって、みんなで湯河原温泉旅行。さらに湯河原から江ノ島に移動して、江ノ島の絶景を楽しんだ。大久保さん、恩蔵さん、卒業おめでとう記念のゼミ合宿。5月にも日帰りで鎌倉に行った。

そして6月からは毎月、飛行機か新幹線でどこかにいってた。6月、ASSCという国際学会に参加するために米国ラスベガスへ。7月、神経精神薬理学会に参加のため札幌へ。7月と8月をまたぐ十日間は理研のスプリングスクールに参加のため埼玉県和光市で過ごす。8月は統合脳シンポジウムに参加のため再び札幌へ。さらに旭川にも移動して大脳基底核研究会に参加。ボーイスカウトのキャンプもあり、それから読書部の合宿もあった。9月は香川県の直島でアートの洗礼を受ける。10月は「酒都」と呼ばれる広島の西条市へ広島大の長沼先生のお招きで酒まつりに参加する。最後に今月11月はSfNという国際学会のために米国サンディエゴに行き、そして富山・金沢旅行。

毎月毎月、先月の記憶が薄れるほど充実した日々だった。いつも、旅に行くたびに、「そういえば先月はあそこに行ったんだった。たかがひと月前のハズなのに随分昔のことのような気がする」と思った。今年はあっちこっち行って、いろんなものや人に触れて、考える材料をたくさん仕入れて、様々な考えが脳の中を通り抜けていった。身体が昔(高校生)の頃に戻りつつあって、メンタリティや感受性もその頃に近くなってきている気がする。それは時間的には退行なのだけど、でも自分としてはなりたい自分に近づけているように思う。

今回の北陸旅行で、自分にとってのアートの役割・重要性をはっきりと認識した。そして、一連の旅行を通して、自分の行動力やコミュニケーション能力に自信を持てるようになった。自分が「動き出せない」ことに対する苛立ちはずっと昔から続いていた。きっとその殻は破られた。内藤礼さんの作品を渇望するようになってから佐久島と青森で二回展示があったのにどちらにも行けなかった。それがずーっと心にひっかかっていた。それは行けなかったのか、行かなかったのか、どっちなのかと。

「大切なもの」は大切にするから「大切なもの」なのだ。言い訳したり、都合の悪さを並べたりして「大切にしたいけれどかなわなかった」ことで自らを納得させてはいいけない。そんなことをしているうちに大切なものは大切ではなくなってしまう。カラカラに乾いた花のように朽ちてしまう。水をやらなければならない、世話をしてやらなければならない。そうして枯らしてしまった花のなんと多いことだろうか。これは新しい花なのか、枯れてしまった花の息を吹き返そうとする営みなのかよくわからないけど、花を育てはじめられたみたいだ 。

さて、さっきも書いたけれど、すぐに12月になって。修士論文を書かねばなるまい。発表会は2月。それまでに。12月と1月はどこにも行かない予定。2月は修論が終わった後、沖縄に行くかもしれないけどね。「外」とインタラクトする時間は必要だけど、「内」に閉じこもって反芻を繰り返し、思考を「練る」時間も同程度に大切であり。

■2007/11/22 木曜日

アートの力を信じること

キュレーターの長谷川祐子さんのお話を聞く機会に恵まれた。アートのことを真剣に考えられ、アートに全身全霊を持って向かい合っているのが伝わってきた。

「キュレーターにとって、もっとも大事なことはなんだと思いますか?」という質問に対して、すこし間をおいて「アートの力を信じることだと思います」と答えられたのを聞いたとき、胸がぎゅーっとなった。それはまさに、僕の好きなアーティストの内藤礼さんが言っていたことと同じだった。内藤さんも、あるインタビューで「わたしはアートの力を信じているの*」とおっしゃっていた。
*「たくさんのものが呼び出されている」 インタビュー

長谷川さんは、また、「アートはひとを自由にする」ともおっしゃっていた。それがすごく共感できて、そういう風にアートに対する見方を共有できる人がいて嬉しかった。寒い部屋で体を縮こまらせていたのが、次第にまわりの温度が増していき、徐々に体を動かすのが苦ではなくなってきて、いつしか体を動かすことが歓びに変わるイメージが頭の中にあって、コンテンポラリーアートの良質な作品というのはそのイメージの中の温度を上昇させる作用があるものだと思っている。

アートにまつわる言葉で、アンドレ・マルローが言った「芸術とはアンチ・デスタンである」という言葉がはじめて聞いた時からずーっと印象深く残っているのだけど、今日、そのふたつ、「アートはひとを自由にする」と「芸術とはアンチ・デスタンである」のことを考えていたら、畢竟、両者は同じ事を言っているのではないかと思った。運命に逆らうということは、それは自由になるということではないか。

アートには力がある。オレもそう信じている。その力に触れたくて、わけもわからないくせにコンテンポラリーアートを好んで観に行くようになった。そうして密かに、自分もそのような力のあるものを作りたいと思ったりしている。そのような力で、何かを変えてみたい。

それにしても、なんとタイムリーなことか。今週末を利用して北陸旅行に行ってきます。富山県の発電所美術館で内藤礼さんの「母型」展を見て、それから長谷川さんが立ち上げに携わった金沢21世紀美術館を訪れる予定。どんな作品と出会えるだろうか。楽しみ。

ちなみに、12月18日にNHKのプロフェッショナルという番組で長谷川さんが出演される予定です。アートが好きな人は要チェックです!それから、今月号(2007年 12月号)の美術手帖にも長谷川祐子さんの特集があります。

■2007/11/22 木曜日

アップデートに伴う不具合

たくさん書きたいことがあるのに時間がなくて書けない。書きたいことの中で一番切実じゃないことを書く。すぐ書けるから。

事の発端は昨日、グーグルスプレッドシートを使ってみようと思ったこと。グーグルスプレッドシートは言わずもがな、グーグルが提供するウェブブラウザで操作する表計算ソフト(要はグーグル版エクセル)。検索して使おうとすると、あなたのブラウザは対応していませんと言われる。オレはシーラというウェブブラウザを使っていて、Maintoshでもっとも一般的なウェブブラウザはSafariである。それで、Safariを起動してもう一度グーグルスプレッドシートを使おうとするとまた、あなたのブラウザは対応していませんと言われる。Safariが対応してないはずないだろうと思ってよく読むとSafariのバージョン3から対応とのこと。自分のSafariのバージョンを確認すると2だった。それで、じゃあいっちょアップグレードするかということでアップルのサイトに飛ぶ。アップグレードすると大概ちょっとした不具合が起こるのでいつも敬遠していたのだけどたまにはいいかと思った。アップルのサイトに飛ぶと、Windows版のSafari3はあるのにMacintosh版は見あたらない。なんでなんで??と混乱しながらサイトをよく読むと、MacユーザーはMac OS X 10.4.11にSafari3が含まれていますとのこと。つまり、Safari3をインストールするためにはOSをアップグレードしなきゃいけないということ。そういうわけでOSのアップグレードを実行。確かアップグレード前は10.3.9とかだったはず。で、アップグレードして再起動をかけて(再起動をかけるまでにいろいろの作業をしていて、再起動せずにSafariやシーラを起動したりもした)、今度こそと思ってグーグルスプレッドシートを使おうとすると、やはりだめ。グーグルDocs(グーグル版ワード)は使えるんだけど、グーグルスプレッドシートは「Oops, Sorry Safari is not yet supported. Do you want continue?」と表示されてしまう。無理矢理続けるを押しても、画面の読み込みがいつまで経っても完了せず。結局、グーグルスプレッドシートはMacintoshからは使えないってことだと判断して断念。ちなみにSafari3はなんかすごそう。

さて、話がそれで終われば「はやくMacでもGoogle Spreadsheet使えるようにならないかなー」とぼやくだけで済むのだが、終わらなかった。オレがメインで使っているウェブブラウザの「シーラ」がおかしくなった。シーラはSafariも使っているWeb Kitという枠組みを使っているのでその影響を受けたのだろうと思われる。再インストールしたりしていろいろやったがうまくいかず。具体的な不具合は、Youtubeの動画が表示されない。(Flashの動作、あるいはJava Scriptの動作がおかしい?)iframeタグの内側が表示されない。フォントが設定とずれる。(フォントというかブラウザの全体的な設定がデフォルトに戻っていたりしている感じ。ファビコンがソフトを立ち上げる度に消えてしまう。)公式サイトには「シイラ 1.0 のみ Mac OS X 10.4 以降での動作保証。」と書いてあるのに気付き、結局1.2.2から1.0にダウングレードした。で、今に至る。とりあえず表示は問題なくなった感じ。但し、ブックマークのファビコンが全く表示されなくなってしまった。まあこれは我慢しよう。

■2007/11/16 金曜日

人に言ったことは自分に返ってくる。そのまま

すずかけ台でゼミだった。1月にあるM1の構想発表会のための準備発表会をやった。参加者は加藤さん、高川さん、恩蔵さん、柳川さん、篦伊さん、遅れて石川くん。今の段階であれぐらい構想があるなら、きっと1月には間に合うだろう。

息をふきかけるまえのシャボン玉のような、どんな形や大きさになるかわからない研究構想に建設的なコメントをするのは難しい。否定的で批判的なことばかり言ってしまった。ふたりにはそんなことにはくじけず、研究を形にしてほしい。

人に言った言葉は、そっくりそのまま自分に返ってくる。M1に言った言葉は、そのまま自分に返ってくるのだ。自分のもつ切実な着想、それは妄想となんらかわらない、それを科学のフィールドで通用するような形に組みあげる(汲みあげる、と表現するほうが適切かもしれない)のがどれだけ苦しいことかわかっているつもりだ。SfNという大舞台で発表したいまもそれができるようになったとは思っていない。去年の自分がまさに同じ状態だったから、彼女らの心情はわかっているつもりだ。言って欲しいこと、言われなくてもわかっていること、言ってほしくないこと、わかっているつもりだ。わかっているはずなのに、それを止められれないのは、わかってないからだろう。

いまの自分は保身に走っている。自分は間違ってない、自分は正しい、そう誰かに言ってほしくて体をガチガチにかたくしている。自分を否定しそうな要素には噛みつく。理由のわからない苛立ちを感じながら、ふとそんなメタ認知が立ち上がった。

肩の力を抜け。そう自分にいい聞かせても、なかなか力は抜けない。木枯らしがふいて鳥肌が立つのを自分の意志ではどうにもならないように。

ともかく、自分で自分を許せるような研究をすることだ。SfNの重圧から解放されたのだから、「時間がない」という理由でできなかった実験をやればいいのだ。そうだろう?と心のなかの自分に言うものの、その自分は渋い顔をしている。

■2007/11/14 水曜日

その繰り返しでしか思考は前進しない

今日はわりとしっかり作業した。英語の宿題をやって、英語の授業を受けて、研究室の予算を把握して、今後の使い途に関するメールを流して、カラーレーザープリンターのインクを生協で注文して、読むべき論文を何本か印刷して、読んだ。

中原さんの論文を読もうと思って、ちょろっと読んだら情報幾何の話で英語で、到底読んでられないと思ったので、情報幾何に関する日本語の情報をネットで検索して、あつらえ向きなPDFがあったのでDLして印刷して読み出したら、即それが日本語であっても容易には理解し得ないものであることがわかった。ので、きちんと読むのはやめて、さらっと流れだけを追うようにして読んだ。そしたら情報幾何がやりたいことはなんとなくわかった。(情報幾何は微分幾何にその背景があり、数学的に難しい部分は微分幾何の部分なのだと思う。)情報幾何は確率分布の近い遠いを定量的に評価する手法だ(と思う。)昔、似たような(と勝手に自分が考える)ことを考えたことがあって、考えただけで何も具体的にはできなかったが、ともかく問題意識だけは似たようなことを思ったことがあったので、そこらへんはすっと入ってきた。距離を測ると言うことを突き詰めていくと、それはそれは大きな問題にぶち当たるんだな、という常人にはわけのわからない道具立てをしないとそれを成すことは容易ではないんだなということがよくわかった。

最近ひしひしと思うようになったこと。自分は今まで「自分の頭で考える」ということをしてこなかったということ。小学校から大学までやってきた自分の勉強というのは「最適化」でしかなく、何かと何かを組み合わせたり、何かと何かのつながりを覚えてそれをすばやく使えるようする行為だった。大学院になって研究ということを本気でするようになったとき、もっとも大事な能力はそういう最適化の能力ではなくて、自分で何かを作りあげていく能力だと思うようになった。土をこねて土台を作りぺたぺたと土を塗って建物を造っていくような感じだ。いままでは組み合わせるべき要素はすでにそこにあるものだったが、研究では組み合わせるべき要素も自分で作らなくてはいけないし、それをどう組み合わせるかはどこにも教科書に載ってない。教科書に載っている組み合わせ方は所詮は教科書に載っている組み合わせ方でしかない。

「自分の頭で考える」ということはとっても苦しい。それを苦もなく出来る人、というか嬉々としてやる人がきっと研究者という職業につくのだと思う。誰だって、誰かの言ったことを批判するのは簡単なのだ。それが「最適化」の能力。もちろん研究者には誰かを批判する能力は必要だ。誰かというのには自分も含まれるからだ。自分の考えたことを自分で批判的に見れなければいけない。最適化の能力はそんなたいそうなものじゃない。誰だってすくなからず持っているし、磨けば増す。だけど、新たな考えを呈示することができるひとは少ない。新たな考えを生み出し、それを検証し、そこからまた新たな考えを生み出す。その繰り返しでしか思考は前進しない。自分にはまだ1歩前進するのすら苦しい。ある場所からただ一歩歩くのと、一歩歩いたあとにそこからまた一歩歩くのは全然違うことだろうと思う。そして10歩歩いた後に一歩あるくのもまた、違うことだろうと思う。一歩進めるか進めないかが現状の今の目標は2歩3歩と続けて歩くことだと思う。きっと10歩あるいたら次の一歩はそんなに苦しくないんだと思う。だけど、2歩3歩と歩けないうちはそんなこといっても仕方がない。

小学校、中学校、高校、浪人、大学学部と6+3+3+1+4=17年も学生やってきて、勉強はそれだけやってきたはずなのに、「自分の頭で考える」という訓練はぜんぜんできてないってどういうことだろう。それでもそういう自分を受け止める以外はなくて、進みたいのならここからしか進めない。修士の2年間でそれができるようになるとは思えないけど、でも、これが自分の選んだ道だもんね。と、自分に言うしかない。

■2007/11/14 水曜日

ふでばこをなくしてきた

おくればせながら、ただいま。10日に日本に帰りました。帰ってきた日はそれはすごい眠くて、空港から実家に向かうバスの中で意識を朦朧とさせながらよだれをだらだら垂らしていました。

帰る前日にロスアンゼルスを一日中歩き回ったその反動だと思う。ホテルに立ち寄る時間が惜しかったので全ての荷物を持ったままロスアンゼルスのダウンタウンを1人で歩き回った。何度も道を間違えたのもあって、たぶん10kmは歩いたと思う。Museum of Contemporary Art(MOCA)の本館と別館(村上隆展)とリトル東京(さっと通り過ぎるだけ)と、ブラッドベリービル(ほんの一分)を回って、最後にサンタモニカでみんなと合流した。

さんざん歩き回って、「もうアメリカひとり旅でも平気だな」と自信が持てた。いままでは金魚のフンみたく誰かの後をついていくことしかできなかったので、ひとりで行動できてよかった。

11/09 武士の一分
帰りの飛行機の中で「武士の一分」を見た。いい映画だった。見終わって、夫婦っていいなと思った。

ふでばこをなくしてきてしまったのが痛恨の一撃である。京都でみつけたお気に入りだったのに。SfNのサイトに遺失物に関する問い合わせ先が書いてあったのでメールしてみよう。

理研の中原さんが今年の10月からうちの専攻の客員教授になっていたので驚いた。一時期、中原先生のところでバイトさせてもらえないかと思っていたが、理研のサマープログラムの時にお会いしてちょっとだけお話ししたのだけど、どうも中原さんに「口ばっかりで何も考えてないやつ」という印象を持たれた気がしてしまって、怖くなってそれ以来何もコンタクト出来ずにいる。学振に落ちて食い扶持を作りたい今日この頃なので、もう一度アプライしてみようかな・・・。

生協に寄ったら理研BSIチームが書いた「脳研究の最前線(上巻) (下巻)」(ブルーバックス)がおいてあった。下巻をパラパラめくってみたらなかなか歯応えのありそうな内容である!下巻には中原さん、藤井さん、加藤さんが書いた章があり、これは買いだなっと思ったが、買ったが読まずにある本の山が3つぐらい部屋の中にあるのを思い出して、なんとなく躊躇してしまった。岡本さんの章は上巻にあるのだけどもし下巻に収録されていたら買っていたかもしれない。ちなみに中原さん、加藤さん、藤井さん、岡本さんはどれも自分がほぼ一方的に知っているだけである。(藤井さん以外は話をしたことがあるけど)

SfNのオーラル発表という大仕事が終わって、ぐいーと羽を伸ばしたいが、そんな余裕は、ない。次は修論の発表会である。修論発表会は3月頃だろうと思っていたら、去年の履歴を調べると2月初旬らしい。まだ先といえば先だが、そんなこと言ってるとASSC、SfNの三の舞である。大脳基底核ループに関する知見に言及して、自分の研究のバックグラウンドを豊かなものにしたいし、EEGの測定もやりたい。がんばれ自分!

■2007/11/10 土曜日

旅の終わりは日常のはじまり

さて、これから飛行機に乗って日本に帰ります。今回の学会ではなかなかに観光を楽しみました。学会最終日にはメキシコに行ってきた。サンディエゴから電車で40分のところにティファナという街があって、国境の直前で電車をおりて歩いて国境越えした。回転式の柵をがちゃんとまわして国境を越える。とってもあっけない。メキシコ料理とメキシコの雰囲気を少しだけ味わえました。

昨日はロスアンゼルス観光をしました。最近、アートづいているので、Museum of Contemporary Art(MOCA)という美術館にいった。別館と本館があって、別館では村上隆展をやってた。村上隆の作品は気持ち悪かった。「異質さ」みたいなものを表現しようとしているのだと思う。本館は名前を知らないアーティストの作品ばかりだった。あまりビビッとくる作品はなかった。

そのあと、滑り込みセーフでブラッドベリービルを訪れる。ブラッドベリービルは、「ブレードランナー」という映画の撮影で使われたビルで、美しいことで有名。実際に見た感想は、それまで言われていたとおり「天国まで続くかのような美しさ」という表現は適切だと思った。ほんと数分しかいられなかったけど、見られて良かった。

最後に、サンタモニカに移動。夜でまわりはあまりよく見えなかったけど、なかなかにロマンチックプレイスだった。海に突き出た桟橋があって、それがかなり大きな桟橋で、おしゃれそうなレストランとかショップがあって、釣りをしている人とか、抱き合って海を眺めているカップルとかがいた。

去年アトランタに行ったときはどこにも行けなかったので、今回はだいぶ満足。そのかわり学会は物足りない感じだった。自分の発表があって、それまでは他の人の発表を聞くどころじゃなかったし、自分の発表が終わった後もかなりテキトーな聞き方をしていたのでもうちょっとちゃんと聞けば良かったかなと思わなくもない。

「セロトニンと意志決定」というセッションがひとつの収穫かな。それとGOとNO-GOタスクというパラダイムを大脳基底核ループを使って説明しようとするセッションがよかった。

バスがくる。ではまた。

■2007/11/8 木曜日

学会終了!

今は8日の朝8時40分。日本は9日深夜1時40分。これから9時30分のAmtrackに乗ってロスアンゼルスに戻ります。


ティファナを歩いた時の動画。最後の方に自分の声が入ってて恥ずかしい。

昨日は午前中は企業ブースをぶらぶらして山ほどお土産をもらってきた。色んな企業のブースを冷やかしながら、一時間以上歩いた。それでも全部のブースは回りきれなかった。合間に東大の渡邊先生の発表を聞いた。かっこいい発表だった。

昼は昨日朝ご飯を食べた「Cheese shop」というお店に再び石川と行く。Tender Pork Loinというサンドイッチを食べた。ハニーマスタードソースがおいしかった。

かきかけだけど、とりあえずあっぷ

■2007/11/7 水曜日

眠い

日本は午後5時か。こっちは夜12時。眠い。昨日はテキーラを飲み過ぎて宿酔いのスタートとなった。

今日はディナーがかなり満足のいくもので、よい思い出ができました。まんぞくまんぞく。朝食も味はたいしたことないけど雰囲気がいいお店で食べたのでまんぞくまんぞく。学会の内容はそこそこ。「セロトニンと意志決定」というセッションと「統合失調症」のセッションがかぶってしまい、なんとなくどっちつかずで聞いてしまって、統合失調症の方はほとんど聞けなかった。NMDA仮説のことを聞きたかったのに。

明日は学会最終日。メキシコに行く予定。ああでもホヤのMCADS別館とSalk Instituteのルイス・カーンの建築もみたいのである。

■2007/11/6 火曜日

平常通り

昨日、自分の発表が終わってやっとふつうに学会を楽しめるようになった。発表が終わるまでは他の発表を聞く余裕は全くなかったけど、今日は積極的にいろいろ聞いている。

今しがた聞いた「Converging evidence for a Frontal/Basal-ganglia system for inhibitory control of thought and action」というMIni-symposiumがとてもためになった。昨日の発表では神経科学的な知見がまったくない発表になってしまったのだが、自分の研究に盛り込める研究分野を発見してしまった!もうすこし早くこれを知っていればもっとましなdiscussionが書けたのに!やはりそのなかでキーになっているのはfrontal-basal ganglia-thalamus回路で、それは以前から自分が注目していたものだった。自分の嗅覚は正しかったのと同時に、自分の研究の着眼点はそれほど悪くなく、むしろいい感じだと思った。

午前中のスライド発表を聞いたら10時に聞きたいものがなくなってしまったので、近くにあるMuseum of Contemporary Art San Diegoに行ってきた。展示数は少なかったけど、面白い作品があった。極めの細かい布で出来た壁があって、それだけなんだけど、それの前に立つと不思議な感覚が立ち上がる。圧倒的な壁の存在感はあるのに、向こう側が見える、というなんかいままでにないperceptionを感じた。
11/05 Museum of Contemporary Art San Diego
http://www.mcasd.org/

英語のリスニングは全然ダメで相変わらず10%も何を話しているかわからないが、以前の学会とは全然違うことがひとつある。なんと話を聞いていても眠くならないのである。去年のアトランタの時も、今年のラスベガスのASSCも京都でやった日本神経科学会でも、もれなく発表を聞きながら激しい睡魔に襲われたものだが今回はまだおそわれていない。毎回、話を聞きに来たのか、よだれをたらしに来たのか、頭をこっくりこっくりさせにきたのか、わからなくなるほど講演を聴きながら寝ていたものだが、今回は不思議と眠くない。体もだるくないし。日頃から炭水化物を控えて、ビタミンBを意識的に摂取するようになった成果かと思う。砂糖は脳のエネルギーとかいうCMが巷で流布しているがあれは一種の洗脳CMだからね。砂糖が脳のエネルギーであることは正しいけれど、だから砂糖をたくさん摂りましょうという論理は間違いですからね。炭水化物を摂りすぎると鬱になったり不安になったり、体がだるくなったり、代謝が悪くなって太ったりしますからね。

これはサンディエゴのSanta Fe駅から見えた景色。すてき。サンディエゴはとてもいいところです。
これは、昨日行ったメキシコ料理のお店にあったおぶじぇ。かわいい。

■2007/11/5 月曜日

終了。

ついいましがた発表おわりました。燃え尽きました。

■2007/11/3 土曜日

第一報

こっちは11/2の午後二時。日本は11/3の朝の6時。みなさんおはよう。

ロスアンゼルスに着きました。空港からホテルに移動して、荷物を置いてからごはんを食べに行ってきました。ロスアンゼルスはとってもメキシコナイズされているのにおどろく。あちこちにタコス屋やメキシコ料理屋がある。ハンバーガーを食べたんだけど、まずかった。まあ、アメリカではふつーの味だけど。ロサンゼルスは暑いっす。長袖だと暑い。半袖Tシャツでもたぶん暑い。

飛行機の中でもやっていたけど、これから力尽きるまでスライド作りをします。段々と煮詰まってきました。ノートにどんなことを話すかをつらつら書き連ねているんだけど、そろそろ「エイヤ!」とそれをグラフィカルかつパーシュエイシブな形で具現化しなきゃいけない。がんばります。

■2007/11/1 木曜日

My itinerary

明日、米国サンディエゴに飛びます。予定は以下の通り。

絶望的な気分だった少し前から一転して、心が平静を保っている。体の調子もよい。とてもまずい状況であることはわかっているけれど、必要以上に悲観し自分を卑下する気分は湧いてこない。一週間、かなりの強度で集中してデータを解析して、ロジックを組み立てて、食べるべきものはとりあえず全て食べたという状態になった。後は消化して自分の血肉にするだけ。昨日すずかけ台から帰る当たりから、何か思い出しそうな感覚がしていて、それは何か思い付きそうな予感だった。今日も起きてからそんな感覚がして、喫茶コロラドでクラブハウスサンドを食べてからCSLにいった。たっくさん図は描いたがそれらが全然整理されてなくて、一旦それを整理してから柳川さんと小俣さんと三人で議論してもらった。2,3時間議論した末に、ダメだと思っていたデータの新たな解釈が生まれ、発表のコアになりそうな部分ができた。前回のタップ時間との差分のヒストグラムからエントロピーを計算したグラフ。柳川さんと小俣さんと議論して、自分の中に自発性の研究に関する芽のようなものがはじめて生まれた気がした。いままで、自発性とはなんだろうと考えてもまったくとっかかりが掴めなくて途方にくれるばかりだった。頬杖をつこうとしても、机がつるつる滑って肘が固定しない感じ。だけど、やっと引っかかりのようおなものを見つけた。これは、うまく水をやって大切に育てればいつか花が咲くんじゃないか。そんなことをCSLから五反田駅に歩く間に思った。それはさておき、これから死に物狂いで発表用のスライドを作って発表練習をするぞ。4日の午後の一番最初である。何とかなりそうな感じがしてきた。ゴールが決まった。あとはそこに収束させるのみ。最適化は得意である。ぬか喜びと自己嫌悪の繰り返し。

面白いブログパーツを見つけたので右のメニュー欄に貼り付けておく。時計です。ロサンゼルスの時間に設定してあるので、サンディエゴもその時間だと思ってください。向こうは日本より16時間遅れています。明日は成田エクスプレスでいこーっと。

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野澤真一