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61章 気分障害: 鬱病、躁病、不安障害

Chapter 61: Disorders of Mood: Depression, Mania, and Anxiety Disorders

1.イントロ

認知能力の妨害(思考障害)と情動の妨害(気分障害)の区別をすることは、精神病の現代的分類において重要なステップだった。情動状態(emotional state)の臨床的な記述において、気分(mood)という単語は、数週間からそれ以上の持続する情動状態を指し、一方で情緒(affect)(または情緒的反応: affect response)は人の即時的で瞬間的な情動状態をいう。情緒(affect)は外界の刺激に対してより直接的に反応する。しかし、重大な気分障害と一緒だと、情緒反応の幅は制限される。このように、情緒と気分の関係は、天気(雨・晴れ)と気候(熱帯、温暖、寒冷)の関係に似ている。

通常の情緒反応は重要な生物的機能を支え、強い高揚感(euphoria)から上機嫌(elation)、喜び(pleasure)、驚き(surprise)、怒り(anger)、不安(anxiety)、落胆(disappointment)、悲しみ(sadness)、嘆き(grief)、絶望(despair)、憂鬱(depression)まで広がりがある。これらの反応のうち3つ--強い高揚感(euphoria)、憂鬱(depression)、不安(anxiety)--は病気を構成するほど障害し、持続し、支配的になる。これら三つについて考え、これら3つの気分の障害に関する生物学的な洞察を議論しよう。鬱と高揚感(euphoria, あるいは躁:mania)は伝統的には情緒(affect)の障害と呼ばれてきたが、我々はより精確な単語である「気分(mood)」という単語を用いる。そのあと、不安状態について調べる。この章の間、我々はこれら3つの気分障害の間の関係性の重要さを強調するだろう。

2.主要な気分障害は単極性か双極性のいずれかである

もっとも一般的な気分障害である単極性うつ病は、紀元前5世紀にヒポクラテス(Hippocrates)によって記述されている。ヒポクラテスの見方では、気分は4つの気質(humors)に依存している。それは血液と粘液(phleg)と胆汁(yellow bile)と黒胆汁(black bile)である。黒胆汁の過剰が鬱を引きおこすと信じられていた。事実、古代ギリシャでは、鬱のことを黒胆汁を意味する「メランコリア(melancholia)」と呼んでいた。この鬱の説明の仕方は今日では風変わりに見えるけれども、そこに横たわる心理的障害は生理的過程を反映しているという見方は正しい。

ヒポクラテス的な定式化を書き換えるための現代の努力は、極めて最近まで、情動障害の分類が正確さに欠けることにより、遅れていた。1917年の論文「朝と鬱(Mourning and Melancholia)」でSigmund Freudはこう書いている:「記述的精神医学においてさえ、鬱(melancholia)の定義は不確定である;それによって様々な臨床形態(あるものは心因性の影響より身体性の影響を唱えている)がとられ、統一へと減少していくことを保証しないように見えるのは確実だ。」過去20年の間にやっと、認知障害のそれと平行して比較的正確な気分障害の診断基準が発展した。(Chapter 60を見よ)

2.1 単極性うつ病はもっともよくある気分障害である

単極性うつの臨床的特徴は、簡単にまとめることができる。Hamletの言葉で言えば、「なんて退屈で、陳腐で、つまらなくて、無益になんだろうか、この世界は!(How weary, stale, flat, and unprofitable seem to me all the uses of this world!)」ということである。未治療の場合、うつのエピソードは典型的に4〜12ヶ月続く。不快な(dysphoric)気分がほとんど一日中、朝から晩までありつづけ、喜びを感じることが出来ない無快感症(anhedonia)のような強烈な精神的苦痛も同時にあり、そして一般的に世界に対する興味も失っているということが特徴である。さらに診断では、以下のうち少なくとも3つの症状があることが必要である:睡眠障害(大抵は明け方に目が覚めてしまうような不眠だが、ときどき過剰睡眠もある)、食欲の低下と体重の減少(ときどき過食もある)、活力の喪失、性欲の減退、情動不安(restlessness)(psychomotoragitation)、思考と行動の緩慢化(psychomotor retardation)、集中力低下、優柔不断、価値の無さを感じる、罪悪感、悲観的思考様式、自殺願望。診断には必要とされない他の症状として、便秘(constipation)、唾液の減少、症状の日周変動(diurnal variation in the severity of symptoms)(大抵は朝に悪い)。

2.2 双極性うつ病(躁鬱病)は高揚感と抑鬱の交代を生じさせる

3.気分障害は強い遺伝的要因がある

4.家族性の単極と双極のうつ病は前頭皮質のsubgenual領域の機能異常を反映しているのかもしれない

5.単極性鬱障害と躁鬱病は効果的に治療できる

5.1 うつ病に効果的な薬はセロトニン作動性とノルアドレナリン作動性の経路に働く

5.2 生合成アミン伝達の異常が気分障害に関与するのかもしれない

6.単極性うつ病は神経内分泌機能の障害にかかわるかもしれない

7.不安障害には少なくとも4つの主要な型がある

7.1 不安発作(panic attack)

7.2

7.3

7.4

8.まとめ


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