カンデル読んでる

カンデルを読んでいて思ったこと、脳科学を勉強しながら思ったことなどの雑記です。

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-ergic/作動性とは?

よく、「GABAergic」、とか「Dopaminergic」などというように、神経伝達物質の最後に「ergic」をつけることで、 そのニューロンの性質を表します。「ergic」というのは「作動性」と訳され、 「GABAergic」ならGABA作動性、「Dopaminergic」ならドーパミン作動性と言われます。 「このニューロンはGABA作動性で・・・」などの記述はよく見かけますが、 それを読むとなんとなくわかった気になります。

しかし、よくよく作動性とは何か考えてみると混乱してきました。 何に混乱したのかというと、「GABAを放出することで相手を作動させるニューロンのことなのか? GABAを受容することで作動するニューロンなのか?」ということです。 その神経伝達物質が関わっているのはすぐわかるが、出す側なのか受け取る側なのか、どっちでしょうか?

作動性とは「放出する」という意味である

答えは「GABAを放出することで相手を作動させるニューロンのこと」です。 つまり、神経伝達物質を放出する側のニューロンの性質のことです。 だから、「作動性」と訳すよりも「放出」と訳す方がいいのではないかと思っています。 つまり、「GABAergic neuron」なら「GABA放出ニューロン」、 「Dopaminergic neuron」なら「ドーパミン放出ニューロン」です。

相手の興奮性・抑制性は何で決まるのか?

さて、ある神経伝達物質を放出する性質のことを作動性(ergic)ということはわかったのですが、 では相手のニューロンがそれによって興奮するのか抑制されるのかはどうやって決まるでしょうか? この伝達物質の時、相手は興奮し、こっちの伝達物質の時は相手は抑制される、という決まりはあるでしょうか。 答えは否です。 相手が興奮するか抑制されるかは、神経伝達物質ではなくそれを受容体の性質に依拠しています。

例えば、ドーパミンがその良い例です。 ドーパミンの受容体として少なくとも二種類の受容体が知られており、D1とD2と呼ばれています。 D1受容体にドーパミンがくっつくと、そのニューロンは興奮します。 つまり、D1受容体に対してドーパミンは興奮性に作用します。 一方、D2受容体の場合はその逆で、抑制性に作用します。 このように、伝達物質は同じでも、受容体の種類によってその働きは興奮性にも抑制性にもなるのです。

とはいえ、”基本的には”ある伝達物質に対するニューロンの反応性は決まっている場合があります。 例えば、GABAはほとんどの場合、抑制性に作用することが知られており、 グルタミン酸は興奮性に作用します。

2007/2/11 (Sun)


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