カンデル 読んでる

日々、カンデルを読んでいます。日本語に全訳した章を公開しています。

カンデルとは

神経科学の標準的な教科書で原題は「Principles of Neural Science(神経科学の原理)」と言います。 現在は第四版まで出ています。編者はエリック・カンデル氏であり、そのため”カンデル”と呼ばれています。 邦訳は出ていません。
英語版Wikipediaのカンデルの頁

第五版が2007/10/15に出るようです(Amazonの情報によると)。
それまでに全ての章の翻訳を公開するのが目標です。
(もちろんきっと無理です。)

[NEWS]
驚くべきことに第五版の出版がまた延期された模様。 発売時期は2009/1/18だそうです。(2007/9/13のアマゾン情報)この調子だと永遠に出ないんじゃないか、fifth edition。

更新情報

すっごく細々更新しています。応援のメッセージ待ってます(笑)
最近、本の中のFigureを載せはじめました。たぶんこれって著作権的にマズイよね、きっと。 だめ出しが出たらすぐに消します。
2008.5.9--Chapter46 Box46-1を追加。
2008.1.22--Chapter15をちょっと加筆。
2008.1.11--脳に関するトピックスに「うつ病に関する私見」を追加。
2007.12.16--「その他に読んでいる本」にBiological Psychologyと神経薬理学エッセンシャルズを追加。
2007.12.12--Chapter15の翻訳開始
2007.12.12--Chapter50全訳終了!
2007.10.26--Chapter50の6.2まで加筆と図を全て挿入。
2007.10.24--Chapter50の6.1途中まで加筆。Chapter60の4.だけ加筆。
2007.10.22--Chapter23の2.0までとChapter60の2.0途中まで加筆。カンデルの目次を書く。
2007.10.21--Chapter50の6.0の途中まで加筆。「その他に読んでいる本」という記事を書く。
2007.9.13--Chapter50の4.と5.の途中までを加筆。
2007.9.05--脳に関するトピックスに「海馬と海馬体」を追加。
2007.7.31--Chapter50の3.0から4.0直前まで加筆。
2007.7.23--Chapter50の2.0から3.0まで加筆。


全訳済みの章

書きかけの章


カンデルの目次

Part I :行動の神経生物学

  1. 脳と行動
  2. 神経細胞と行動
  3. 遺伝子と行動

Part II :ニューロンの分子細胞生物学

  1. ニューロンの細胞学
  2. 神経タンパクの合成と輸送
  3. イオンチャンネル
  4. 膜電位
  5. 局所的信号伝達:ニューロンの受動的な電気的性質
  6. 伝搬する信号:活動電位

Part III :ニューロン間の初等的相互作用:シナプス伝達

  1. シナプス伝達の概観
  2. 神経-筋肉シナプスでの信号伝達:直接的に開閉伝達
  3. シナプスの統合
  4. シナプス伝達の調整:セカンドメッセンジャー
  5. 伝達物質の放出
  6. 神経伝達物質
  7. 神経-筋肉シナプスの化学的伝達の疾患:重症筋無力症

Part IV :認知の神経的基盤

  1. 中枢神経系の解剖学的組織
  2. 知覚と運動の機能的組織
  3. 感覚・運動機能の統合:大脳皮質の連合野と脳の認知的可能性 [全訳済み]
  4. 神経細胞から認知へ:知覚と行動に必要な内部的細胞表象

Part V :知覚

  1. 感覚情報のコーディング
  2. 体性感覚
  3. 触覚
  4. 痛みの知覚
  5. 視覚象の構築
  6. 網膜の視覚処理
  7. 中枢視覚形路
  8. 動き、深さ、形の知覚
  9. 色の見え
  10. 聴覚
  11. 耳の中の感覚変換
  12. 臭いと味:化学感覚

Part VI :運動

  1. 動きの組織
  2. 運動単位と筋活動
  3. 運動単位の疾患
  4. 脊髄反射 [全訳済み]
  5. 歩行
  6. 随意運動
  7. 視線の制御
  8. 前庭系
  9. 姿勢
  10. 小脳
  11. 大脳基底核 [全訳済み]

Part VII :覚醒、情動、行動的恒常性

  1. 脳幹、反射行動、脳神経
  2. 脳幹による感覚・運動・意識の調整
  3. 発作とてんかん
  4. 睡眠と夢
  5. 睡眠と覚醒の障害
  6. 自律神経系と視床下部
  7. 情動状態と感情 [全訳済み]
  8. 動機付け状態と中毒状態

Part VIII:神経系の発達

  1. 神経系の誘起とパターン形成
  2. 神経細胞の新生と生き残り
  3. 目標への軸索の誘導
  4. シナプスの形成と再生
  5. 感覚体験とシナプス結合の微調整
  6. 神経系の性差
  7. 脳の加齢とアルツハイマー型痴呆

Part XI :言語、思考、気分、学習、記憶

  1. 言語と失語症
  2. 思考と意志の障害:統合失調症
  3. 気分の障害:鬱、躁、不安障害
  4. 学習と記憶
  5. 学習の細胞機構と個人差の生物学的基盤

脳に関する雑記

以下、私の調べたこと・ぼんやりと思っていることなどのメモです。

  1. -ergic/作動性とは
  2. modality/モダリティーについて
  3. ganglion - ganglia, nucleus - nuclei /単数-複数
  4. 領域の名前、たくさんの軸
  5. 海馬と海馬体
  6. うつ病に関する私見

今後、さらなるカンデルの翻訳、脳科学に関するコンテンツを増やしていくつもりです。


このサイトの筆者について

大学院にて脳・認知科学を学んでいる野澤真一といいます。 このページや翻訳に関するコメント・ご指摘・ご質問などございましたら答えられる範囲でお答えいたします。
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リンク

システム神経科学の授業のページ
私が2006年度後期に受講していたカンデルを輪読する授業のシラバスです。 ここに運動のパートの33章から43章までの全訳が掲載されています。

脳に関するトピック
私が尊敬してやまない先輩・澤繁実氏のページで、01, 02, 07, 13, 17, 24, 32, 45, 60 章の翻訳が掲載されています。

CNS Forum: Image BankNEW!
このページには脳に関するイラストが豊富です。


その他に読んでいる本

カンデルばっかり読んでるわけじゃございません。別の輪講や研究会で読んでいるやつとか独りで勝手に読んでるやつとか。

Neuroscience: Exploring the Brain

著者:Mark F. Bear, Barry W. Connors, Michael A. Paradiso

カンデルより薄くて、しかも内容も平易です。カンデルを基準にすると情報量が少なくて物足りない感じですが、 カンデルの半分の値段だし、一応、カンデル的に分子生物学から行動までカバーしているので なまもの系の神経科学や臨床系の神経科学をやらない人にとってはこのぐらいのレベルでもいいのではないだろうか。 これは日本語訳が出ているのでそっちを買ってダーッと目を通すと(1ページ3秒ぐらい) 一通り頭に入っていいかもしれない。 しかし原書を持っている身としては日本語訳まで買うのは気が引ける・・・。

The Hippocampus Book

著者:Per Andersen, Richard Morris, David Amaral, Tim Bliss, John O'Keefe

カンデルと同じぐらいのサイズです。そしてこれ一冊、まるまる海馬の本。びっくりですね。海馬って奥が深いんですね。 いま、これを輪講しています。これを読んでいると「脳に関するトピックス:海馬と海馬体」に書いたことが、 いろいろ間違っていることに気付きます。 時間ができたら修正したいと思います。

Cognitive Neuroscience: The Biology of the Mind

著者:Michael S. Gazzaniga, Richard B. Ivry, G. R. Mangun

分離脳実験で有名なガザニガが著者の1人の本です。その名の通り認知神経科学。 私自身が独自に読んだ章はひとつかふたつだけです。 分子生物学の話はなく、全て認知科学よりの話です。(うる覚え) 認知神経科学をやるならカンデルよりこっちを読むべきじゃない?とか思います。 カンデルよりも認知科学寄りの話が豊富です。 ひとつの章が50ページぐらいあって、長い。 そして英語がカンデル的な平易・無味乾燥なものとはちょっと違います。 読みづらいというほどではないですが、ネイティブ的な英語だと思います。(あくまで私の印象で)

Biological Psychology: An Introduction To Behavioral And Cognitive Neuroscience

著者:Mark R. Rosenzweig, S. Marc Breedlove, Neil V. Watson

生物学的心理学、と訳すのは適切だろうか。上のガザニガの本やExploring the Brainと似たような感じです。 やはりカンデルに比べればやはり情報量はすくないですが、入門書としてやる気を感じます。 CD-ROMがついていてPC上で学習ができたり。アニメーションがあったり。 そういう仕掛けはExploring the Brainの方にもあるけど。 個人的にはExploring the Brainよりはこっちの方がすきです。

精神薬理学エセンシャルズ―神経科学的基礎と応用

著者:Stephen M. Stahl, 仙波 純一 (翻訳)

この本、おすすめです!神経薬理学、神経精神医学の事がよくわかります!神経精神薬理学はとかく、薬の名前の洪水で、 神経伝達物質に対する影響も様々で、シナプスにおけるタンパク質な複雑なダイナミクスも把握するのが難しい。 そんな中、見事にちょっとシュールな図でいろいろと説明してくれます。 これを読むと精神疾患における精神状態(心の状態)が、自律神経系などの作用による情動反応(体の反応)と同じく 脳内の物質の不全によって引きおこされることもよくわかります。 また、アンタゴニストやインガースアゴニストなど薬理学では常識の概念や、 神経回路網の形成・発達において何が正常で何が正常でないか?(正常という用語はただしくないが) ということに関する一般的な概念もやはり図を豊富に使って説明していて、このような説明は現在の脳科学において非常に珍しい! この本は脳と心の問題に哲学的、心理物理、計算論的にアプローチしようとするものにとっても十分に読むに値する内容になっている。


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