すずかけ台へ

2005-08-01

日記再開します。
未練がましくもう少し、この場所に言葉をつむぎます。

なんだか緊張している自分がいる。
今日は無力にも自分を晒すことしかできない。
うまく晒せるかなんてさらさらわからない。

ふいに裸にされても堂々としていられる自信はあるけど、
そんな自分を見込みがあると認めてもらえる補償はない。

昨日、amazon.deから届いたCDの中に
とても切なさを感じさせて、
それでも疾走するイメージを彷彿させる曲がある。
今、聞いている。
届くかどうかわからない。
間に合うかどうかわからない。
希望に満ちた予感なんてこれっぽっちもありはしなくて、
でも全力疾走。

東工大すずかけ台キャンパスに行ってきます。
朝6時。

私は感情に興味があります

2005-08-02

I am interesting of emotion.

中学生にも笑われる間違いをしてしまった。
面接の後、笑いがこみ上げて仕方なかった。
あまりにアホらしい間違いに、
自分にあきれるとか激しい自己嫌悪とか
そんなものをしのぐほど、可笑しくて、
すずかけ台のキャンパスをうろうろ散歩しながら
始終ニヤニヤしていた。
なにやってんだーとか
ばっかだなーとか
きゃーとか
ぶつぶつ言いながらニヤニヤしてたから、
頭がおかしいと思われたかしら。

親と友達に脅されて、スーツを着て行ったわけだけど、
あの暑さの中、スーツを着るのは殺人的だった。
茂木さんに、「どうしたのスーツなんてきちゃって」と言われた。
受験者のうち、ほとん
どがスーツだったけど、
ほんの少し私服の人もいた。
やっぱり、スーツである必要はなかったのだなと思う。
ただ、「面接はスーツ」という無意味なコンセンサスがあるだけなんだろう。

朝9時から午後4時ぐらいまで拘束されていたわけだけど、
そのうちのたった20分が面接で、
あとは全部待ち時間。
James Joyce の Dubliners を読んでいた。
http://www.bibliomania.com/0/0/29/63/frameset.html
思った以上に読めない。
こんなんも読めない自分をくっだらないと思う。

東急田園都市線で渋谷に戻ってきて、
そのまま山手線にのって研究室に向かうべきなのだが、
なんだか物足りなくて、渋谷をぶらぶらした。
なにかおもしろいこと起きないかな、そんな気分だった。

歩道橋を渡ってみたり、坂を上がってみたり、
本屋に入ってみたりしたがなにもない。
モヤイ像のまわりにひまわりが植わっていたのがおかしかった。

楽しいとか、幸せとか、健康とか、どうでもいいよ。
オレは楽しい事をするために生きているのではないし、
幸せになるために生きるのもしゃらくせい。
健康は手段であって目的ではない。

満たされない気分のときは歩く。
渋谷から馬場まで歩くことにした。
タワレコで右に曲がってガードをくぐり、明治通りを歩く。
浴衣のひとが目立つ。
渋谷原宿は、若い男女でいっぱいだ。
人ゴミの中を独りで歩くと深く孤独になれる。
少し手を伸ばせばぶつかってしまう。
だから、ほんの少しの範囲が自分の領域。
そっから先は無限の障壁でさえぎられている。

暑い。
控えめに言って、背中が汗でずぶ濡れになった。
革靴は底が硬くて長く歩くと足がいたい。
それでも歩みを止めなかった。

甲子園球児のメタファー

2005-08-03

昨日はなんだか気が抜けてしまって、
ずっとだらだらしていた。
自主休業。

本当はそんなんではいけないと思う。

甲子園球児は試合に敗れたその日のうちに
新しいキャプテンを決め、
次の日から来年の甲子園に向けて練習をはじめる。

試験が終わったらすこしゆっくりしようと思っていたが、
昨日、先輩とディスカッションをした結果、
新しい実験をしなくてはならないようだ。
ゆっくりできる8月はおさらばである。
9月までに新しい実験系でデータをそろえなければ。

甲子園を真剣に目指す者には
むやみに感傷に浸ることは許されないのだろう。
あるいは喜びでも同じことだ。
感傷も喜びもそれはきっと随伴するもので、
歩みを止める理由にはならないのだ。

そういう思想をもつ人を心から尊敬しつつ、
しゃきっとすることができなかった。
桜が咲いたら、やっぱり立ち止まって眺めたいから。

剥離しない贅肉

2005-08-04

パソコンのメールに迷惑メールが多くなってうんざりしている。
メールアドレスが公開されているだけで、
誰かが目ざとく見つけてはそれを蒐集し、
他の誰かに売りつけて拡散していくのだろう。
そろそろメールアドレスを変えようと思う。

もう必要ないものや無駄でしかないものでも
がん細胞のように増殖している。
時の流れに剥離させられていくものはあるけど
それだけじゃすべての贅肉はなくならない。
切り捨てなければならない。

まだ8月のあたまだけど、
もう夏は長くない。
オレにはそんな風に思われる。
きっとあっという間に9月になってしまう。
くだらないことにつきあっている暇はない。
真剣に向き合う価値があるものだけに目を向けよう。

Nimm mich mit!

2005-08-05

2raumwohnung の Nimm mich mit という曲をくり返し聞いている。
もう何日もこの曲ばかり聞いている。

<さびの部分>
Nimm mich mit, nimm mich mit, nimm mich mit, Tommyboy
auf das Abenteuer Liebe und so weiter!
Ich kann’s sehn, es wird gehen,
es wird doppelt-dreifach-schön
mit dir als mein Begleiter!

<訳>
連れてって。連れてってよ、私を連れてって。
アバンチュールの愛とかそういうものへ
私にはわかるの。きっとうまくいくわ。
2倍も3倍も素敵になる。
あなたがいっしょなら

訳はそんなに外れてないと思う。
Tommyboy という単語だけは訳せなかった。
どうみても英語だけど、英語の辞書にものってない。
shy boy という意味だろうか?

音楽も切ないし、歌詞も切ない。
女の人が切々と男に訴えている。
わたしはあなたとふたりだけでいいの。
どこでもいいの。待ちくたびれてるの。
わたしを連れ去ってよ!

英語でも歌の歌詞を理解するのは難しいのに、
ドイツ語だからさらに自信がないけど、
たぶんそういう歌だと思う。

きっとそのうち飽きるだろうけど
何年か経ってこの曲を聞いた時、
きっと今のことを思い出すのだろう。
変わっていく。
跡形もなくすべてが入れ替わってしまっても
恐れることはなくて
オレはオレの恒常性を保っている。


















“Nimm mich mit” by 2raumwohnung

Es regnet nicht nur in der Regenzeit,
es schüttet aus Kübeln nur so runter.
Wie stellst du dir das Wetter vor in Caracas,
das Leben in den Tropen ist viel bunter!
Du, sagst du, ich bin kein Mann für eine Nacht,
ich muss nur immer irre viel verreisen.
Heut hab ich mal drüber nachgedacht,
deine Chance ist da,ich kann es dir beweisen.

Nimm mich mit, nimm mich mit, nimm mich mit, Tommyboy
auf das Abenteuer Liebe und so weiter!
Ich kann’s sehn, es wird gehen,
es wird doppelt-dreifach-schön
mit dir als mein Begleiter!

Ich mal mir alle unsere Möglichkeiten aus:
Nordpol, Südpol, Großstadt oder Strand...
am Strand der ganze Sand...
vielleicht lieber doch aufs Land...
bin jedenfalls schon so gespannt.

Mein Hund sieht inzwischen ganz traurig aus,
immer nur drinnen, nie raus aus’m Haus,
immer nur warten, dass das Telefon geht,
und einen auf ne Reise in die Welt einlädt.

Nimm mich mit, nimm mich mit, nimm mich mit, Tommyboy
auf das Abenteuer Liebe und so weiter!
Ich kann’s sehn, es wird gehen,
es wird doppelt-dreifach-schön
mit dir, du bist mein Begleiter!

Nimm mich mit, nimm mich mit, nimm mich mit, Tommyboy
auf das Abenteuer Liebe und so weiter!
Ich kann’s sehn, es wird gehen,
es wird doppelt-dreifach-schön
mit dir als mein Begleiter!


カサブタ

2005-08-07

いつまで待ってもこない吉報
いつまで経っても一方通行

もうどれぐらい?
季節がいくつもめぐるぐらい

あんたの姿はみていない
ただ言葉だけで消息を知る
かろうじて風鈴がなる程度
ささいな刺激
十分過ぎるバタフライ効果

剥がれないシール
ちっともきれいに剥がれてくれない
醜く残る粘着面
爪をたててこする
がんこにこびりついて爪が欠ける

そのうち肌を削り出す
肌ごと剥がされるシール
血がにじんで
カサブタができて
そのカサブタを癒えないうちに剥がしちゃうから
カサブタは絶えずして
もとのカサブタにあらず

もういい加減にしな
願望と現実を混同している
彼女が振り向く確率は
豆腐の角に頭をぶつけて死ぬ確率に等しい
あんたは何回、豆腐の角に頭をぶつける気だい

戸田の花火

2005-08-08

先週の土曜日は研究室の大掃除だった。
遅刻していって全員から冷ややかな視線を浴びかなり鬱になる。
大掃除の後は研究室のメンバー全員で花火大会に行った。
戸田公園の花火大会。

今年初めての夏らしいことである。
戸田公園の駅についてやっと
去年もこの花火大会に来たことを思い出した。

駅を降りてすぐにもう帰りたくなった。
人が多すぎる。
何なんだ。誰なんだ。
や、花火に来てるんだろうし、誰でもいいだろうって感じだけど。

駅から河原まで歩く過程でも帰りたい気持ちはつのる。
自分の習性として、人口密度勾配に逆らいたくなる。
フィックの拡散の法則の如く。
このままいったらさぞや見物席はぎゅうぎゅうなのだろうと、
ガクガクブルブルという感じだったが、
ついてみたら人心地がつけるぐらいには空間があったのでほっとした。

先発隊に合流して河原に敷いたブルーシートの上に腰掛けて
ビールを飲む。
3本目のエビスの缶の中身が半分ぐらいになったころ、
最初の花火の音がした。
ふっと目を向けると、そこには果たして花火が輝いていた。
人生でもっとも美しく豪快な花火、なわけはなく、
これまでの人生で見たことのあるのと変わらない
普通の花火だったけど、うっとりとした。

友達がぼそっと言った
「ああ、俺は花火のよさを忘れていたよ」という言葉は
もっともだと思った。
それまで胸の中には負の感情がうずまいていたけれど、
その最初の花火を見たとたん、ああどうでもいいや、という気分になった。

「きれいだねー」
「音がびりびり来るね」
「あの色はストロンチウム?」
「炎色反応・・・、動力なきK村・・・とかだよね?」
「あのオレンジはきっとナトリウムだよ」
「ああ、あれはでかいから10万ぐらいだろうねぇ」
「あっちの小さいのは2万とかかな」
「おーい、ビール足んねぇよ」

そんな会話が飛び交っていた。
かわいげがないようで、みんなすこしはしゃいでいるようでもあった。
こうゆうときは少し頭のねじを緩めるのが吉。
オレは口元が緩んでいて、
口を半開きで新宿や渋谷のネオンよりよっぽど上品に
光っては消える色の移ろいを見ていた。
花火の美しさそのものに寄り添っていたかった。


休息を・・・

2005-08-09

うちの研究室は夏休みのはずなのに
なんでオレは毎日研究室に来てるんだろう。
そもそも学校はロックアウト期間という、基本的に
誰も入れない期間なのに。

実験をしようしようと思いつつ、
あまり実りのあることができていない。
トリビアルなことしかできずに時間が過ぎていく。
やはり気が緩んでしまっている。
夏休みが来る前は、
「夏休みなんてしゃらくせい。実験だ!研究だ!」
とか思っていたが、
他にもやることがあったりして、
しかも世間が夏休みな雰囲気で
いまいちやる気が出ない。

オレは、今やっている研究をあと半年しかやることができない。
この研究はかなり面白いテーマだし、
うまくいったらかなり大きな影響を
科学の世界に与えることができる。と信じている。(弱気)
だからせめて、
来年あたらしく研究室に入ってくる人たちのうちの誰かに
引き継いでもらえるようにしたいのだが、
いかんせんこの研究はあまりにもうまくいきそうにないため、
このままだとオレでこの研究は打ち切りになってしまう。
だから焦っている。
もう一年の半分が経ってしまった。
めぼしい結果はぜんぜんない。
やっぱりこのテーマは時期早尚であった。
卒業論文にそんなこと書きたくない。
そんなわけで手当たり次第に実験をしなければと思っている。

でも、頭の隅の方ではアラームがなってて、
夏だ!浮かれろ!、という音が聞こえる。気がする。
というか願望。
ああもう!
実験とか微生物の世話とか何もかも投げ出して
ぼんやりしたい!
ネットもケータイも通じないところへ行って
静かに目を閉じていたい!

あ、でもあさってからネットもケータイも通じないところにいくんだった。


Auf Wiedersehen!

2005-08-10

東工大から合格通知が届いた。
これで正式に合格が確定したわけである。

結局ロクに勉強せずに大学院入試が終わってしまった。
こんな簡単でいいのか、東工大。
面接だけで通ってしまった。
じゃあやはり筆記試験を受けてくだサイ。とか言われると
それはそうとう困るのであくまで小さい声でいってみる。

結局、まともに勉強したのは2日間だけだった。
あとの時間は実験にまわしてしまった。
いま思えばずいぶん不敵な態度をとっていたものだ。
もし不合格だったら15日間しか試験勉強にあてられないというのに。
その日数で合格点をとる自信はない。

でも実は、試験勉強、したかった。
試験勉強の時間を実験にあてられたのはよかったけど
試験勉強をせずにすんでしまったのは惜しい気がする。
せっかく頭が良くなるチャンスだった。
もちろんこれから先もじゃんじゃん勉強して
色々なことを吸収していくつもりだけど
まとまった期間、ひたすら机に向かって勉強するということは
この先ないんじゃないかと思う。
何かを体系的・網羅的に勉強するのはまとまった時間がないと無理だ。
これからの勉強はツギハギにならざるを得ないだろう。

じゃあ筆記試験受けなさいといわれたら
断固としてお断わりです。
とにかく、来年からは東工大茂木研究室にいきます。
ここがひとつの終着点だと思う。
モラトリアムはここで終わりだ。
これから先もあいかわらずゴクツブシ・スネカジリで
勉強することは腐るほどあってまだまだ修業の身だが
もう進路で悩むことはない。

オレは心脳問題に挑みます。

東武モラトリアム線はここで終点です。
JR心脳問題線の方はお乗り換えです。



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