フェムトセカンド過去ログ

過去ログ一覧 | フェムトセカンドトップへ | http://melonsode.fem.jp/

2006
 4月: 1-30大阪記 | 5月: 1-31 | 6月: 1- 5 5-1011-2021-30
 7月:1-31 | 8月:1-31 | 9月:1-30
10月:1-1516-31 |11月:1-30 | 12月:1-31
2007
 1月: 1-31 |  2月: 1-28 |  3月: 1-31
 4月: 1-30 |  5月: 1-31 |  6月: 1-30
 7月: 1-31 |  8月: 1-31 |  9月: 1-30
10月: 1-31 | 11月: 1-30 | 12月: 1-31
2007のBook,Art, Museum
2008
 1月: 1-31 |  2月: 1-28

■2007/5/10 木曜日

本郷、kandel 19、枝豆

何日か更新が滞った。過去に遡って書く。

8日(火)
東大で「神経科学入門」の授業。川人さんの授業。小脳の計算論的モデル。小脳は内部モデルを生成し、フィードバック制御とそのモデルに基づいた予想的誤差制御の両方を使って、運動を学習しているという話。モデルだけでなく、きちんとEmpiricalな議論もあって、すごいモデルだなと思った。Neuronスパイクの細胞記録だけではなく、細胞内の遺伝子発現制御、さまざまなタンパク質の作用機序やカルシウム濃度の関係までも視野に入れた研究をしていて、唸った。とか書くと「またそんなnai¨veな反応してー」みたいなことを言われてしまうかも知れないけど。でも、果たしてどっちがnai¨veなのかはわかんないよ。

川人さんの話を聞いて、システム神経科学、計算論的神経科学がどんなものかかなり具体的にわかった。計算論的神経科学の最終目標はなんだと問われたら、「いつか全ての神経細胞の活動が計測できるようになったとして、その全ての神経細胞の活動を予測することだ」と川人さんはおっしゃっていた。たぶん、自分がやりたいことはこういうことなんだなと思った。少し前からひとつの諦めが自分の中に出来ていてて、それは意識の問題はきっとオレの脳みそじゃ解くのは無理だなという予測。やはりその問題は絶対的に難しいというのがわかって、しかも自分のおつむの出来もそれに立ち向かえるほどの性能はないなというのもわかって、そうしたら、意識以外の脳の問題を全部明らかにしてしまえ!という気になった。後は意識の問題しか考えることないじゃん!となるほど身も蓋もないほどに脳に関するeasy problemを解いてしまえ!という風な気分になっている。そうしたら、もうすこし意識の問題に関して一歩前にすすめるかもしれないじゃないか。

この東大の講義はオムニバス形式になっていて、毎回講義する先生が違う。それぞれの先生にとってはその一回の講義がすべてなので、研究のおいしいところを惜しげもなくみせてくれる。毎回、スイカの中心部分だけ食べさせてもらっている感じだ。しかも、日本語でその話を聞けるのがうれしい。研究を知るためには学会で発表を聞いたり、論文を読むしか普通は手段がないわけだが、それらは概して英語でなされる。日本語で聞くとすらすらと話が頭の中に入ってくる。英語よりも学習効率は何倍も良い。はっきり言って、この授業は毎回当たりばかりだ。この授業を受けられることに感謝しよう。

東大からの帰り、湯島の方へ歩いた。本郷、湯島、上野、御徒町、秋葉原、お茶の水のあたりは高校三年、浪人、大学一年の3年ぐらいの活動の拠点になっていた場所なので、この道は何度歩いたかわからない。だけど、久々に歩いてみると、今までなかったお店がいくつか出来ていて、開拓したくなった。本郷から御徒町の方に抜ける下り坂の途中に「一片雲」という中華料理屋さんがあって、そのお店は気に入っている。「四川風ピリ辛とりそば」を食べた。ブロッコリーとかほうれん草とか鳥肉とかがゴロゴロと麺の上に乗っていて、味もしょうゆ、みそ、しおのどれでもなくて、ベースはみそだけど日本のラーメンにはない味付けになっている。幸せ。

食べた後、秋葉原まで歩いて、よさげな喫茶店があったのでそこでしばらく作業をして、それからまた歩いた。カンデル19章の全訳が終わって、気分が良かったので秋葉原から銀座まで歩いてしまった。

9日(水)
カンデルの輪講。「19章:感覚と運動機能の統合」をみんなの前で説明する。全訳およびスライドはここ。全訳を作ったわりに説明はしどろもどろになってしまった。まだ頭の中で内容がきちんと整理されていなかったのだと思う。訳したけど意味がきちんと掴めてない場所もないとは言えないし。でも、特にM1がすごく真剣に話を聞いてくれてそれはうれしかった。あんな風に熱心に話を聞いてもらえると、やりがいがあるし、もっと他のことも説明してあげたい!と思ってしまう。

次の回で須藤さんがオーガナイズする輪講は最後になるというアナウンスが正式になされた。まだ終わってないけれど、輪講を運営してくれた須藤さんの功績は大きい。だけど負担がかかりすぎているような気がして申し訳ないと思っていた。

これから輪講はどうなっていくのだろうか?なくなってしまうのだろうか?誰かが何か言い出すだろうか?オレはこれからも輪講のような営みは続けていきたいが、全体をひっぱるような仕事はしたくないし、そういう人がいないと成立しない形式ではやりたくない。輪講というのはもっと自主的な営みであって欲しい。誰かが「これを読みたい!ここを勉強したい!」と叫ぶと「ああ!オレもやりたい!」と他の人が呼応して「じゃあオレはここ!」「わたしはこっち!」という風に堰を切ったようにことが運ぶようなものであってほしい。今は輪講が惰性で動いているようなところがある気がする。一旦終了することで、より自覚的になる機会になれればいいなと思う。

10日(木)、今日
午前、すずかけ台で授業。今日は統合失調症の話。統合失調症に関わる、遺伝子、薬理学的知見、統合失調症を説明するドーパミン仮説、グルタミン仮説、セロトニン仮説、そして新しく出てきた発達過程仮説。ああやって体系的にやってもらえると、学習効率はとても良い。勉強になった。授業後、また先生と長々とお話させていただいた。いろいろ細かい点を聞くととても誠実に答えてくださるので助かる。

お昼はちょっと贅沢して、てんてんで食べた。カウンターに座ったのだが、茂木研のメンバーと来たり、ひとりでもときどきくるので板前さんが顔を覚えてくれたらしく、愛想良く迎えてくれた。(初めてののお客さんに愛想が悪いわけじゃないけど。)てんてんの天丼 990円なり。夜の仕込みか板前さんは枝に付いたままの枝豆をひとつひとつ枝から切りとる作業をしていた。その枝豆は冴えるような色つやの良さで、思わずかぶりつきたくなる衝動が込み上げた。あと二ヶ月経って、夏の暑い盛りに、あの新鮮そうな枝豆をつまみながらよく冷えたビールを飲む様を想像したらたまらなく気持ちが良さそうだった。onzoさんはもうじきオーストラリアに行ってしまって、だけど7月8日に帰ってくるって。その頃にはきっと枝豆とビールが文句なくうまい暑さになっているだろう。だから冬の南半球から7月の日本に帰ってきて、その暑さにうたれたら、まず最初にしたいことはきっと枝豆にビールだろうなと、なんの脈絡もなくそういうことが浮かんだ。枝豆とビールが待っているから、安心してオーストラリアに行ってきてね!

明日はゼミで論文紹介。統合失調症・パーキンソン病・ハンチントン病のそれぞれの患者にWisconsin Card Sorting Testをやってもらったときの成績の違いを皮質ー基底核ー視床ループの計算論的モデルをつくってシミュレーションにより再現したという2000年の論文を読む。

2006
 4月: 1-30大阪記 | 5月: 1-31 | 6月: 1- 5 5-1011-2021-30
 7月:1-31 | 8月:1-31 | 9月:1-30
10月:1-1516-31 |11月:1-30 | 12月:1-31
2007
 1月: 1-31 |  2月: 1-28 |  3月: 1-31
 4月: 1-30 |  5月: 1-31 |  6月: 1-30
 7月: 1-31 |  8月: 1-31 |  9月: 1-30
10月: 1-31 | 11月: 1-30 | 12月: 1-31
2007のBook,Art, Museum
2008
 1月: 1-31 |  2月: 1-28
過去ログ一覧 | フェムトセカンドトップへ | http://melonsode.fem.jp/

This web site names フェムトセカンド / femto second = 10-15 秒 .
Author: 野澤真一 / Nozawa Shinichi
since 2006/4/1