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五月蝿いバイク

ヘルメット
かぶってシートにまたがった
空を見上げた
遠い青
高い高い秋の空

ブレーキ握ってエンジン始動
排気量50の赤いスクーター
いなか道の帰途に着く
五月蝿い音を響かせて

今日は9月のど真ん中
うしろにすっとんでく風が
熱を奪いすぎて寒い

はるか遠くにグラデーション
上から下に
青から赤へ
説明不能の滑らかさ
デジタル化なんてきっと無理さ

きっとあそこが最前線
この世界の最先端
そこより先に進めたら
誰も知らない景色があるのだ

「この時代の人間に
 オマエは生まれてきたんダロ?
 第二宇宙速度くらい
 目指してみたらどうなんだ」

赤いバイクがオレに言う

「無茶を言うなよ」

オレは思う

「これでもフルスロットルなんだから」

2004-09-15