ヘルメット
かぶってシートにまたがった
空を見上げた
遠い青
高い高い秋の空
ブレーキ握ってエンジン始動
排気量50の赤いスクーター
いなか道の帰途に着く
五月蝿い音を響かせて
今日は9月のど真ん中
うしろにすっとんでく風が
熱を奪いすぎて寒い
はるか遠くにグラデーション
上から下に
青から赤へ
説明不能の滑らかさ
デジタル化なんてきっと無理さ
きっとあそこが最前線
この世界の最先端
そこより先に進めたら
誰も知らない景色があるのだ
「この時代の人間に
オマエは生まれてきたんダロ?
第二宇宙速度くらい
目指してみたらどうなんだ」
赤いバイクがオレに言う
「無茶を言うなよ」
オレは思う
「これでもフルスロットルなんだから」