その人は待っていてくれるようだった
のんびりと爪なんぞ切りながら
まるで自分の家にいるかのような落ち着きようで
待っていてくれるようだった
オレは急いでごはんを食べている
味も何もわからないような速さで
ひっきりなしに咀嚼し燕下し
手も口も止まることがない
ずいぶんと長い時間そうしているような気がするが
一向に腹は膨れない
食べても食べても食べ足りない
待たせるのは悪いから
いいかげんに食べるのをやめたいけど
空腹感は残り続ける
その人は誰かに何かを語っている
とても楽しげに語っている
時折オレに意見や同意を求め
オレは口をもごもごさせながら答える
その人は退屈はしてないようで
オレは安心する
食べ続ける
その人のものがたりを聞きながら
いつか食べおわるときがくるのか
あるいは中断するのかもしれないが
どちらもまだ先の気がする
そうして目が覚めた
そんな夢を見た