▲ トップページへ ▲ 詩の一覧

月の在処

理想の自分はやっぱり遠くて
水に浮かんだ月みたいだ

自分を裏切った理由が
今も見える

階段を昇って
もっと昇って
さらに上がって
もっと速く進みたくて手摺りに足を掛けたのさ
飛ぼうとしたんだ
ありもしない幻覚に負け
骨は砕けた

火に焼かれて
こらえきれず飛び込んだ
水たまりにも月は映って

年の分だけ比重は重く
下へ沈み
それでも月は上にある

2003-05-29