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ふたり乗りで

まだ冬は終わらない
自転車で駆けると
襟元から
冷たい風が吹き込んできて
昔の記憶に突き飛ばされた

そのころは、だらしなく空いた
学ランの襟元から
風は流れ込んできた

冷たさだけを胸で感じて
寒さは忘れてる
心が背中にあって
耳とか五感なんかもそっちにいってて
ほかはおろそか
周りが見えていない

めいっぱいペダルをこいでもノロノロで
細くて弱々しい腕が、必死になってハンドルつかむ
あの頃は今よりぜんぜん貧弱だった

衣擦れの音や
布越しに感じる圧迫感に
ドキドキして

星がやたらときれいに見えて
夜空と道がずっと続くような気がしていた

2003-02-20(sweet nothing だった頃、改題)