フェムトセカンド過去ログ

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■2008/2/6 水曜日

無い袖は振れない

修論発表会が終了した。これでオレの修士課程の2年間はほぼ終わりといっていいだろう。発表会終了後に茂木さんと握手の図。

励ましのためか、慰労のためか、先輩達がお菓子をくれた。うれしかったので回覧用の修士論文と一緒に写真を撮った。

以下、修論発表日前の数日間の回想。

修論の発表会は、別日程で先にやっていた中原先生のときが山場だったように思う。論文はロジックが破綻していてストーリーは支離滅裂尻切れトンボな状態であり、それを無理矢理バラバラにならないようにワイヤーをがんじがらめに巻いてある感じ。もとからちょっとつつけば簡単にはじけてしまうのだけど、中原先生は北斗の拳のケンシロウが秘孔を打ち抜くような正確さで問題点を指摘してくださった。崩れないようギチギチに巻き付けてあったワイヤーがビンッ!ビンッ!という音を立てて見事にはずれていく。そしてオレは素っ裸になる。もう何も脱ぐものがありません!という感じで万事休すの状態だった。あと何を脱げというのかと。例えるならばそんな感じで。

自分の論文がよろしくないのはよくわかっていた。頭の中ではアラートがなりっぱなしでOKボタンを押しても押してもポップアップしてくるエラーメッセージのようにその問題の多さは自覚していた。だけど、何をどうしたらいいのか、わからずにいた。中原先生の指摘はいちいち適切で、むしろ自分の問題点をきれいに洗い出すこととなった。基本的にオレは人の言うことを聞けないタチなのだが、中原先生の言葉はすっと胸に入ってきた。そんなわけで、まさに中原先生に対する発表は自分にとってカタルシスだった。崩壊と、浄化と。

中原先生への発表の後、ゼミでラボメンバーの前で発表した。イントロの大脳基底核に関するレビューをなくして、t検定を片側から両側に変えて、ランダムな系列との比較を思いつきで図中に加えてみた。とりあえず話はすっきりしたが、相変わらず考察の部分がなくストーリーも強引なものだった。ゼミで議論して、考察にいくらか付け加えられそうな材料を得た。そんで、家に帰って、議論の部分のスライドを作ろうと思ってたら寝てしまって、起きたら朝六時で、議論のスライド3枚とFuture Work2枚をエイヤーで加えた。あまり自覚はしていなかったが、あの発表は「自発条件とギャンブル条件ていうのを考えて、そんでその違いについて考えてみました。」という話になっていたのだと思う。本来なら「これこれの理由で自発条件とギャンブル条件ていうのを考えてみました」という風にすべきなのだが、まあそれはもう考えちゃってあまつさえ実験までしてしまっているのでどうにもならん。比較のために図の中に入れたランダム系列との対比だが、今思えば、ランダム系列と自発行動系列を比べて、自発的行動はランダムではないというストーリーにすればよかったのかもしれない。そもそも、それが一番最初に考えていたことに近い。最初に自発的にボタンを押すという課題(ともよべない課題)を考えてそれがどういう系列になりどうやって生成されるのかということを知りたいと思った。だけど、どうやって調べればいいかわからなかった。で、ギャンブル条件というのを加えて対比させたら何とかなるかもと考えた。それから迷走が始まているのだろう。いまさら遅いけれど、ギャンブル条件はほっといて、自発条件とランダムな系列の比較をすることが、あの実験データを生かしconsistentなストーリーにまとめられる唯一の道だったのかもしれない。発表後、中村研の先輩たちと話をしていたらそこらへんを突っ込まれて、そんな風に思った。

そんなわけで修論発表会は迷いを心の中に抱きつつやったので、質疑応答の時間は出てくる質問に対してうまく反応することができなかった。心の中に複数の考えが錯綜していて、どの考えを基盤に思考を編んだらいいか決めあぐねている状態だったので、最終的にでてくる出力は「・・・」だった。ある先生の一体これは何なんなんだ?というような視線が印象に残った。

発表終了後は学生だけでてんてんに行った。朝、賞味期限を二日すぎた菓子パンを囓りながら、「発表が終わったらてんてんのてんぷらが食えるぞ」とわくわくしていたので、実際に食べられてうれしかった。

修論提出の少し前から昨日までずっと腹の調子がよくなかった。ストレスで胃に穴が・・・という話はよく聞くけれど、きっとあの状態が3ヶ月ぐらい続くとそうなるのだろうというのが実感できた。胃酸が出すぎている感じ。終始、胃のあたりが重たかった。でも、てんてんで日替わり定食を食べている頃には気にならなくなっていた。

終了後はD部屋の掃除をした。誰かが放置して、たぶんこれからも放置されるであろう紙の束や、既定の場所がないために中途半端に置かれているだけになっているものを片す。黙々とその作業をしながら、ふと、レクイエムという言葉が浮かんだ。

修論が終わるまでは、負の感情がうずまいていた。全世界はオレの敵なんだという被害妄想とヒロイックな自己陶酔。その感情が身体の一挙手一投足を支配していた。片付けをしているうちに、そういう感情はなりを潜めたようだ。でもきっと、消えてはいなくて。強烈な自尊心と強烈な劣等感が同居するオレの頭の中からその感情は生まれる。そのアンビバレントな両者が和解するか人並み程度に弱まるまでは、危機に際してまたやってくるのだろう。「いまは、引こう」そういうことなのだと思う。

今日は雪が盛大に降っている。まるで舞台の幕が降りるかのよう。

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Author: 野澤真一 / Nozawa Shinichi
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