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土、日と文化的水準の高い生活を送る。
01/12 「国宝 松林図」@国立博物館
土曜日:長谷川等伯の国宝・松林図を目当てに、国立博物館に行った。国宝展で、2008/1/2ー2008/1/14のあいだだけ松林図が見られる。右の画像はリンク先から勝手に拝借。
まず目をひいたのがその空白の多さだった。いや、余白だと思っている場所も微妙に彩色されているのかもしれないが、そこにはあからさまなモチーフは描かれていなくて、空白として扱われていた。あんなにも大胆に空白が”描かれて”いることに大きな衝撃をうけた。普通は、描くことで見る人を圧倒しようとするだろう。だけど、この作品は描かれていない空白の部分の方こそが見るものを圧倒させているように思う。濃い霧に包まれる松の林の圧倒的な存在感がその空白には"描かれている"。
水墨画というのは線画に近いと思っていたが、この作品はむしろ点描に近いようだった。淡さの表現が尋常ではない緻密さを持っている。どうやったらこんなに薄く色を付けられるのか、たまたま障子に長年の「スス」が染みついた結果こういう色がついたんではないかという感じの薄さだが、しかし、見事に均整のとれた配色で、それは確かに作為的に描かれたものだった。
すごい作品だった。茂木さんのように2時間ぐらいその前で佇んでいたかった。
この作品以外にも常設展で展示してある作品も見て回った。歴史の勉強にもなり、楽しめた。夢窓疎石の一行書があって、それがかなりぐっときた。書のことはわからないし、なんて描いてあるのかも分からなかったのだけど、よかった。国立博物館はもっと足繁く通うべきだなと思った。国宝級の作品がいろいろと展示されているんだ。東工大の学生は入場料タダだし。
その後、トッパンホールでニューイヤーコンサートを聞いた。ハイドンの「太鼓連打」とベートーベンの「英雄」。太鼓連打の第一楽章は好みのメロディーだった。
01/13 「SPACE FOR YOUR FUTURE」@東京都現代美術館
日曜日:MOT(東京都現代美術館)に長谷川祐子さんがキュレーションした美術展を見に行った。タダ券をもらっていたのに持って行くのを忘れた!タイ人のアーティストによる映像作品がよかった。タイ語で何を言ってるのかわからないし映像もエンタテイメントなものではないが、辛抱強く見ていると、映像と音から漂う優しさや暖かさのようなものが静かに伝わってくる。それから沢尻エリカの100パターンの写真を撮った作品は一枚一枚の完成度が高くておどろいた。
あと、オラファー・エリアソン(ずっとオルファーだと思ってた)の作品。オレンジと青の蛍光灯が光ってる作品。ほとんどの人が気付かずに通り過ぎていったけれど、あの作品は光っているオブジェが作品なのではない(たぶん)。あの作品は、あの光によって照らし出される光景が作品なのだと思う。あのオレンジと青という補色の色だけで構成された光の中で見ると、全てがモノクロームで見えるようになる。あれは、なかなか得難い光景だった。全てがセピア色に見えて、たまらなく切ない光景に見える。脳内では、光源の色が異なっても色は同じように見えるように調整されていて(昼に見ても夕焼けの中で見ても赤は赤にみえる)、それは「色の恒常性」と呼ばれているのだけど、それを支える機構が関わっているのだと思う。
サイトのデザインを少し変えてみた。松林図をモチーフにした背景。
This web site names フェムトセカンド / femto second = 10-15 秒 .
Author: 野澤真一 / Nozawa Shinichi
since 2006/4/1