フェムトセカンド過去ログ

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■2007/9/26 水曜日

内藤礼、このことを

直島・高松旅行から帰ってきた。地中美術館、ベネッセミュージアム、家プロジェクト・きんざ・護王神社、丸亀猪熊弦一郎美術館、エルンスト・ネト展、アート三昧の二泊三日であった。とくに最初の二日間は出来すぎなほど充実した時間を過ごせた。その反動のように三日目は空振った。東山魁夷せとうち美術館は休館日で、ヘッドライトつけっぱなしでレンタカーのバッテリーがあがりエンジンがかからなくなるという失態をしでかした(バッテリーあがりは人生3度目)。日本のアートシーンが今、劇的に面白くなっているということを肌で感じられた。もっとアートを!見れば見るほどそう感じた。

内藤礼さんの作品、「きんざ」。2005年の4月にギャラリー小柳でその作品に触れて以来、オレは内藤礼というひとにひどく惹かれており、ずっとこの「きんざ」を見たいと思っていた。それが今回やっと叶った。

2005年4月の日記から抜粋。
2005/4/24 窒息している情報
内藤礼展−地上はどんなところだったか
2005年5月14日(土)まで
ギャラリー小柳
(銀座線銀座一丁目駅7番出口
銀座1-7-5小柳ビル8F。ビルの裏手へ回る)
11:00-19:00 日月祝休
TEL.03-3561-1896
http://www.tokyoartbeat.com/event/2005/3DE2.ja

もしもあんたがたまたま銀座や有楽町に行く機会があるなら、 絶対に行った方がいい。 そんな機会はなくても少しでも時間があるなら行った方がいい。 来週、芸大の美術解剖学という授業に内藤礼さんが来るそうだ。 オレは絶対にもぐりに行こうと思う。
「内藤礼」でググってみた。 その個展のウェブサイトがあると思ったから。 だけどそういうものはなかった。 それが軽くショックだった。 あんなにいいものをやっていながら、 主体的な宣伝活動をやってないのだ。 それらしいビラを配っているわけでもなさそうだし、 きっと告知のポスタ−なんかもないのだろう。 「ぴあ」みたいな雑誌には他の個展と同様に紹介されているが、 何も知らない人がそれだけで見に行こうと思うようには思えない。 オレは人づてに聞いて行ってみようと思ったわけだけど、 「内藤礼」を知っていて、 なおかつそのためにアンテナを張っていないと 見つけだすことはできないだろう。 そういう事実に震撼した。
テレビ、ラジオ、新聞、ネット、雑誌・・・ 様々なメディアを通して情報が溢れている。 その中で窒息している情報がある。 自分にとって大事な情報はむしろその窒息してるほうだったりする。 畢竟、大事な情報は垂れ流されているもののなかではなく、 自分で見つけたものの中にある。 テレビをまともに観なくなって久しいが それでいいのだと思う。

2005/4/24 地上はどんなところだったか・感想
銀座を歩きギャラリー小柳を探す。 あった。 だけどエレベーターがない。 貼り紙があって、  「ギャラリー小柳にいくにはビルの裏手に回って下さい」 とのこと。 テクテク歩く。 何の変哲もないビルのエントランスに入り、エレベーターで8階に行く。
エレベーターが開いた瞬間から展示場ははじまっていた。 悪く言えば殺風景な何もない空間である。 どの作品もとても小さい。 手のひらサイズ。 そういう作品が20点ぐらいあった。
はじめはそのささやかな作品群たちがなんなのか 意味がわからなかった。 でも会場をだいたい一周しおわる頃、わかった。 その展示のコンセプトがわかった。 「地上はどんなところだったか」 そのタイトルに託された意味がわかった。
わかったらもうやばかった。 乱暴な言い方をすればほとんど何もないに等しいこの空間に、 濃密な世界が充満しているのに気付いた。
雲の写真
土と糸のオブジェ
むこうを透かしてみるための作品
それぞれの作品が見る人に励起させるイメージが組み合わさることで、 ただの足し算を爆発的に凌ぐ圧倒的なイメージを与えていた。 イメージというか、生成された別の世界のようなリアリティがあった。
内藤礼というひとの持つ繊細さと優しさを、 あたかも耳もとで囁かれるように感じとった。 癒された。 「なににもならなくていいよ おいで」と書かれた お土産をもらって帰った。

2005/4/28 繊細な人
内藤礼さんの授業をうけた。 内藤礼さんは作品とそのひとの話す言葉にギャップがなくて、 それが驚きだったし、 ギャラリー小柳で感じたのと同じように癒された。 内藤さんの声や話し方はそれだけでとろけるように魅力的だった。
このひとはとてつもなく繊細で、限りなく優しい。 どうしてあんなに繊細でいられるのだろう。 あんなにいろんなことに気付いてしまっては 生きるのがとても苦しいのではないだろうか。 聞いてみたかったが場の雰囲気に呑まれて質問できなかった。
授業後に聞こうと思ったが他の人がずーっと話していて やはり聞けなかった。 そして、その後の飲み会でやっと聞くことが出来た。
やはり辛い、と言っていた。 それでもこの人はしっかり立っていて、目に迷いがなかった。 きっと、想像を絶するような強さを あの細くて小さな体に秘めているのだろう。
オレは“地上はどんなところだったか”の感想を 片っ端から語ってしまった。 自分が感じたことをうまく表現できるかわからなかったし、 表現できてもそれが相手に伝わるかわからなかったけれど、 内藤さんはわかってくれたようで、的確に応えてくれた。
オレ以外の人もばんばんいろんなことを内藤さんに質問していた。 そして、その度に内藤さんは的確に答えるのである。 それがすごいと思った。 ときどきオレには理解できない質問が出たりして、 でも内藤さんはきちんと理解していて応えていた。 そういうのは頭が良いとかそういうのではないと思う。 もっと根源的で絶対的な力だと思った。 だからあんなに繊細になれて、そして繊細でいられるのだろう。


きんざは正式な作品名は「このことを(being given)」。受付のオバサンが作品のもつ繊細さ、神聖さを台無しにしていたが、 それでもこの作品を感じることができた。15分、建物の中にただいるだけ。最初は長いような気がしたが、最後は時間のことを忘れていた。最初の5分はなんのための空間かわからず戸惑う時間。次の5分は立ち上がってあたりを見渡し、細部をよく観察する時間。最後の5分はその世界に同化する時間。あるときはっと気付く。その空間には内藤礼さんの気配が充満していた。まるで内藤礼さんの抱擁されているかのように。むせかえるほど深く息を吸い込むようにぎっしりとその空間には何かが詰まっていた。。

9/25 「迷惑な進化」シャロン・モアレム

森山和道さんが発行している有料のメールマガジン「サイエンスメール」を購読している。
http://www.moriyama.com/sciencemail/
この購読者を対象にときどきプレゼント企画があり、応募したらこの本がもらえた。以前にもニコラ・テスラ 生誕150年記念イベントの参加チケットプレゼントに応募したら当たったことがあった。きっと応募者が少ないから当たる確率が高いのだと思う。

それはさておき、この本はかなり面白かった。ので、一気に読めた。文章が非常にうまいという理由もありそうだ。原文が良くできているし、日本語訳も非常に良くできていると思う。翻訳は読みづらいことが常だが、この本はかなり自然な日本語に翻訳できている。
以前からDNAメチル化でラマルクの獲得形質の遺伝に近いことが起こるのではないか?ということを考えていたが、それと関連する話が書いてあって、とても興味深かった。エピジェネティクスの話も詳しく、非常に勉強になった。また、トランスポゾンの話、これは単語は聞いたことはあるけど何のことなのかはしらなかった。そのことがきちんと書いてあるかなり衝撃だった。遺伝子変異と疾患と進化の話。どれもこれも旨みのぎっしり詰まった話題で、読めて本当に良かった。

11月のSfNまで約1ヶ月。間に合わない。間に合わせ。

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Author: 野澤真一 / Nozawa Shinichi
since 2006/4/1