フェムトセカンド過去ログ

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■2007/1/19 金曜日

下條セミナー3、avolition

下條さんのセミナー三日目、最終日。自由意志は真性のイリュージョンであるというのはその通りだと思う。錯視はそれが錯覚として見えてしまうという知識があっても知覚はどうにもならない。そのような知覚が知識とは関係なくどうしようもなくそう見えてしまう側面とのアナロジーで、自由意志を持っていると思うことをイリュージョンだと言ったのだと思うのだけど、その喩え方は新鮮だった。

オレはそれに対してすこし違う見方を持っている。それはカプグラ妄想の人とのアナロジーで考えている。カプグラ妄想の人は、ごく親しい人、例えば父親や母親に対して「この人は私の父親にものすごくよく似ているが、この人は私の父親ではなくて、誰か他の人が私の父親を演じているのだ」と思ってしまう。実際に、それは本当の父親なのにもかかわらず、また、父親とそっくりだということも認めつつ、それを父親だと思えないのである。このことから、「何かを何かだと思う(信じる)」回路があるのではないかとと思っている。つまり、色や形を同定して、記憶の中の誰かとマッチングする回路とは別に、それがその人である、と下から支える回路があるのだと思う。

自由意志の場合も同じで、自由意志がある、と思わせる回路があるのだと思う。なんというか「底を支える」回路があると思うのだ。これだけの記述で読んだ人が納得してくれるとは思えないし、なかなかうまく表現することができないがそうなんだと思う。何かを「信じる」ことができるのも同じような回路によって為されるのではないかと考えている。この「信じること」を生成するメカニズムについてはいつかやってみたいと思っている。

下條セミナーは今日で終わりだが、参加してよかったと思う。オレの「意識の問題に踏み込むのは不可能に近いぐらい難しい」という認識を変えてくれた。いろいろケチをつける人もいると思うけど、そういう人は自分の穴ぐらに帰ってもらうしかない。大事なことはとにかく手を伸ばすことだと思う。下條さんの示してくれた膨大な実験データには頭が下がったし、そこから考察したこともとてもエキサイティングだった。

ぐだぐだ考える前に実験する。徹底的に実験する。そして、そのデータを徹底的に考え抜く。その反復で恐ろしく強靱なロジックができあがる。抽象的な思考だけでは埒があかないのである。抽象的思考ももちろん大事だが、いつもそれが具体的に何に対応するのかを忘れないで考え続けなければならない。

ともかく、オレももたもたしていないで何か実験をしようと思った。何かしなければ。何かしなければ。

実家に帰ってきた。親父が買った、茂木さんがフィーチャーされているBRUTUSをざっと読んだ。驚いたことに、茂木さんと自分のツーショットの写真がとても小さくだが載っていた。おおう。表紙の茂木さんのイラストはかわいくていいと思うし、「脳科学者ならこう言うね!」というキャッチはかっこいいと思う。写真も豊富で、大きな写真はどれもすごくいい。クオリア日記の一部がいくつも抜粋されていて、読んでいるとはっとするほど鋭い言葉やカッコイイ台詞が並んでいる。この「茂木語録」の何パーセントかはきっと後世まで残る直感した。実際そうなるかどうかわからないけど、前後の文脈が消されることで逆に言葉の過激さや色気が際だってより胸に残る言葉になっているものがある。そういう言葉は残るんじゃないか。ここに載っているだけじゃなくて、茂木さんは膨大な量のテクストを書籍やブログに残しているから、その可能性は高いと思う。

深夜、「avolition」というキーワードで文献を探索して、一通り終わった。あまり大した量はなかった。残念なようなほっとしたような。東工大はとれる論文誌の数が少なくて腹が立つ。やはり総合大学のほうがいいよなと思う。3本、文献複写依頼を出した。

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This web site names フェムトセカンド / femto second = 10-15 秒 .
Author: 野澤真一 / Nozawa Shinichi
since 2006/4/1