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本郷東大に斉藤裕さんの講義を聞きに行った。建築に関する講義で、月に一回一人の建築家に焦点をあてて話をするというもの。建築学科の友人に誘われたのだ。今回が一回目で、今日は「ルイス・バラガン」というメキシコの建築家だった。オレは建築に関しては完全な門外漢だが、やはり一級の仕事というのは門外漢だとか専門家だとかそういのうは関係ない。心の奥に直接響く、その美しさと深い哲学。
「孤独とはよき友のことです」というのがバラガンの言葉だが、彼の自邸はそれがよくわかる造りになっている。美とは何か。そういうことをやはり真剣に何十年も考えている人はいるのだ、と嬉しくなった。
映し出される写真に圧倒された。光が空間を染める。色は表面に描かれるものだという概念を覆された。空間をも色を付けることができるのだ。ものすごく考えられた色と壁と光と空間の関係。これだけ書くと、家の中が華美なイメージになってしまうけど、それでいてなおかつ居心地のよい空間になっているのである。居心地がいいという表現では物足りない。そこに住むことで生活が圧倒的に豊かになりそうだった。
美意識というのは伝わらないものだと思う。相手にそれがないとどんなに言葉を尽くしても伝わらないし、相手にそれがあれば何も言わなくても共感することができる。ある一つの作品にそれに対してどう反応するかでそれはわかってしまう。美意識というのは伝わらない。「これのここがこうなってて、・・・いいじゃない」と何とか指し示すことはできるかも知れないけど、そういった瞬間にもう抜け落ちてしまっている。ディテールとディテールが響き合うことで単一のディテールだけでは決して出てこない質感がでてくるからである。
パソコンでもMacが体現する美意識があるけども、それはわからない人には伝わらない。Macのよさがわかってしまった人はMacを使うし、使ってもわからないという人はいる。そういう人にはどうがんばっても説明することはできない。オレは最初はWinを使っていて、Macの話が出ると、使ったこともないのにいかにMacよりWinの方がいいかということを話す人間だった。それがMacを使う環境に入って、実際に噂に聞くMacなるものを触って使うようになって完全にそっちにスイッチしてしまった。そして、昔の、MacよりWinの方がいいと適当なことを言っていた自分の浅ましさがよくわかった。いかにWinのほうがよい理由をならべて、それが的を射ていたとしても関係ないのだ。そんなことを言われてもMacの方がいいものはいいのである。Macの良さはわかるひとにはわかるし、どんなに言葉を尽くしても伝わらないひとはいるのである。
昨日はブレードランナーを見た。ブレードランナーにはいろいろな版があってオレが見たのは最終版らしい。おそらく監督の意図がもっとも正確に表現されたものだと思う。オレが生まれた1982年ぐらいの作品。当時の近未来が今見ても色褪せていない。いい作品だった。アンドロイドに感情が芽生えたという話は、やはり今の時代でもさまざまな議論を巻き起こすソースたり得る。
This web site names フェムトセカンド / femto second = 10-15 秒 .
Author: 野澤真一 / Nozawa Shinichi
since 2006/4/1